【特集】1回戦の勢いを持ち込めずライバルに苦杯…男子フリー60kg級・湯元健一2007年3月6日】







 1月末の全日本選手権で激戦を勝ち抜き、全日本王者の座を守ったフリースタイル60kg級の湯元健一(日体大)が、2試合目の日本人対決で井上謙二(自衛隊)に敗れ、またしても国際大会でのメダルがお預けになった。

 1回戦はよく攻撃ができ、1−0、5−1の完勝だった。その勢いを続く井上戦に持ち込むことができず、無念の黒星。1月末の全日本選手権決勝での対戦は、攻めてテークダウンを奪い、グラウンド攻撃でニアフォールに追い込むという理想の試合展開で勝てた相手。その完勝の油断を問われると、「なかったとは言い切れない」としぼり出すように答えた。

 第3ピリオドは終盤の勝負どころで自分から仕掛け、いいところまで追い詰めながら、かわされて場外へ押し出されてポイントを失った内容
(右写真)。「取り切れないということは、まだ甘いんでしょうね」と振り返る。

 ただ、1回戦の内容については「いい勝ち方だった」と満足している。それだけに、「外国選手相手にもっとやりたかった」と、不完全燃焼の大会だった。

 2004年のアジア・ジュニア選手権で銅メダルを獲得したあと、シニアの大会では2005年世界選手権を含めてメダルに手が届いていない。同級のライバルでは、アテネ五輪銅メダリストの井上は言うに及ばず、高塚紀行(日大)が2005年世界選手権銅メダルのほか2006年ベログラゾフ国際大会優勝など、大沢茂樹(山梨学院大)がジュニアとはいえ2006年世界選手権銅メダル、1階級アップしてきた清水聖志人(クリナップ)も2006年NYACホリデー・オープン優勝と、国際舞台でのメダルを手にしている。

 これを指摘されると、「海外で勝てない、と言われるのは嫌だし、認めたくない」ときっぱり。外国選手におじけず気持ちはない。「原因は分かっている。絶対的な強さがあれば勝てる。今までどおりの練習ではダメだと思う。もっと厳しくやっていく」と力をこめた。

 今年度は、日体大の主将として、自分のことだけに専念できない状況だった。昨年末にその激務から解放された。この4月からは日体大の助手として、同じ環境で自分の練習にだけ打ち込むことができる。「日体大は強い選手が多くていい環境です。ここで鍛えて頑張ります」。

 山本“KID”徳郁(KILLER BEE)が出場した階級の全日本王者として、前年の王座獲得の時以上に注目を浴びた湯元。本当に注目を浴びるために“内弁慶”の打破に挑む。
(左写真=1回戦で快勝した湯元だったが…)


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