【特集】悲願のJOC杯初優勝に涙…女子カデット60kg級・佐藤文香(愛知・至学館高)【2007年4月19日】







 14日の「ジャパンビバレッジクイーンズカップ2007」のカデット60kg級を制した佐藤文香(愛知・至学館高2年=左写真)が、決勝で前年度の決勝で敗れて優勝をさらわれた渡利璃穏(愛知・至学館高1年)を下して初優勝。高校の後輩を退けた佐藤は「入学してきたばかりの1年生には負けられない。先輩の意地を見せました」といたずらっぽい笑みを浮かべた。

 茨城・水戸四中時代の2003〜05年に全国中学生選手権を3連覇している逸材も、JOC杯カデット選手権は2004〜05年と2位どまり。「どうしても勝ちたかった」との言葉通り、気合をみなぎらせながら決勝のマットに上がった。

 その気持ちが表れたのは第1ピリオドを奪って迎えた第2ピリオドだ。タックルから前年度王者をかつぎ上げると、たたき落すような力強い投げを披露(
右写真=投げる直前に足が場外に出ていたため、結果的には1失点)。渡利が首から落下して一時は動けなくなり、会場は緊張感に包まれたが、相手の回復を待っている間もクイーンズカップ王者の表情はまったくゆるまなかった。

 一方、直後は担架が投入されながら、立ち上がって試合続行を訴えた渡利も勝利への執念は強烈。虎の子の1ポイントを守り切り、第2ピリオドを奪って勝負は第3ピリオドへ。死闘の末に鋭いタックルを決めた佐藤が制して悲願の初優勝。最後は「勝てると思ったら、試合中なのに涙がでてきた」と試合後に明かした。

 これで8月のアジア・カデット選手権(台湾)を終えれば、カデットは卒業だ。「今年の目標は肉体改造。もっと土台のしっかりした大人の体にしたい」。将来を期待される中量級のホープは新たなテーマに取り組む。

(文=渋谷淳)


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