【特集】坂本姉妹に続け! 自衛隊の若手選手が国際舞台へのキップ奪取【2007年4月22日】



 女子ジュニア63kg級で工藤佳代子(自衛隊)が優勝。坂本姉妹(日登美・真喜子)の加入以来、活気づいている自衛隊女子チームから初めて世界ジュニア選手権(8月、中国・北京)へ選手を送ることになった。


 工藤
(右写真)は栃木・壬生高出身。高校時代は特に実績がながかったため、自衛隊体育学校レスリング班の推薦入隊にかからず、一般自衛官として入隊し、半年間の集合教育を受けたのちの昨年11月にレスリング班の練習に合流した。「ちびっ子クラブからずっとレスリングをやっていたけど、いい成績を残せず、お世話になった人に何も返せなかった。恩返しをしなければ」という気持ちから高校卒業後もレスリングを続けることを決め、「自衛隊に行けば強くなれる」として今の道を選んだ。

 「高校時代は少人数でやっていた。今は選手数が多い」と、恵まれた環境を体験して自らの選んだ道の正しさを実感。72kg級全日本2位の佐野明日香選手や男子コーチほか、自分より大きな選手と数多くの練習を積めば実力がアップするのは言うまでもないだろう。坂本姉妹とスパーリングすることはないそうだが、知らず知らずのうちにでも世界のトップレベルの技術を盗んでいるはずで、これも大きなプラス材料だ。

 藤川健治コーチは「(工藤は)クイーンズカップの2日前に『体重が落ちない』と言ってきたので、『そんな基本もできないのなら、レスリングをやめろ』と雷を落とした。そうしたら、必死になって体重を落とした。その厳しさを経験したことが今回の優勝につながっている」と話す。そして、「(自衛隊には)新しい選手が育っているでしょ。坂本姉妹に続く選手をつくりますよ」と自信を見せた。

 「まだ課題は多くあるので、ひとつひとつ克服していきたい」と話す工藤の世界ジュニア選手権での活躍が期待される。


(文=樋口郁夫)


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