全国少年少女中学女子エリート合宿開催される【2007年5月5日】








 JOCゴールドプランの一環として行われ、将来有望なジュニア選手を召集した「全国少年少女中学女子エリート合宿」が3日から静岡・東伊豆稲取で行われている。

 女子は小学校5年生〜中学校3年生、男子は小学校5・6年生が対象で、今年3月の「JOCジュニアオリンピックカップ兼全国少年少女選抜選手権」と4月の「ジャパンビバレッジクイーンズカップ2007」の優勝者を中心に召集された。一部の推薦選手を除いて、全国チャンピオンがずらりと集っており、非常にレベルが高い合宿。全国から38人の男女選手が集まった
(右写真)

 注目選手は“参加者全員”。コーチとして参加した自衛隊の藤川健治コーチが「ここにはチャンピオンしかいませんから、身体能力がズバ抜けて高い選手ばかりです」と語るように、ウォーミングアップのマット運動ではバック転やバック宙を難なくこなす選手が続出。コーチ陣たちを驚かせた
(左写真=コーチも驚く全国チャンピオンたちの運動能力)

 一般的にちびっこレスリングは褒めて伸ばすのが基本。だが、ここに集まった選手は「世界」を見据えた選手ばかり。そのため「全国から選ばれてきたという自覚を持ってもらうためにも、厳しく指導している」(成富利弘コーチ=東京・安部学院高監督)と指導内容はシニア顔負けの厳しい内容。

 アシスタントコーチとして参加した51kg級世界V4の坂本日登美(自衛隊)は、「私たちが子供のころよりも高い技術を持っていてびっくり」と参加選手のレベルの高さを認めた
(右写真=坂本選手と練習する少女選手)。協会は今後もジュニア強化に力を入れていくようで、3、4年後には、この中から“スーパー高校生”の冠でシニアデビューを果たす選手が誕生しそうだ。

■目的はジュニアの選手育成

 男女合わせて6個のメダルを獲得したアテネ五輪で、日本にはかつてないレスリングブームが訪れたと言っていい。少子化によって、多くの競技競技人口の減少に悩んでいるが、レスリングのちびっ子選手は逆に増加傾向。毎年夏に行われる全国少年少女選手権は出場選手が年ごとに増えており、昨年の第23回大会(東京)のエントリー数は大会史上最多の1399人。会場の駒沢体育館は満員の大盛況で、文部科学省が競技人口の増加の理由を日本協会に問い合わせてきたほど。

 もっとも、問題点がないわけではない。参加しているのは大半がクラブチームの選手。レスリング部のある小・中学校は全国で数えるほどで、成富利弘コーチが「ちびっ子レスリングがあれだけ盛り上がっているのに、中学生になるとレスリングから離れてしまう選手が多い」と語るように、才能のある選手がシニアに上がる前に辞めてしまうのが現状なのだ。

 現在、世界で活躍する吉田沙保里選手や、伊調千春・馨姉妹は、いずれもちびっこからレスリングを続けてきた選手。日本レスリング協会にとっても、才能のある選手がシニアまで一直線に競技を続ける環境、モチベーションづくりが課題だった。「小さいころから“日本代表”という肩書きをつけることで、選手にステータスを持たせたい」(成富コーチ)と、3年前からジュニアの強化に予算をつけ、今回のエリート合宿を組むようになった
(左写真=3回目迎えたエリート少年少女選手の全員集合)

 その効果は実際に出ている。今回、男子の主将を務める白井勝太選手(JOC杯51kg級優勝=小学校6年生、
右写真)のモチベーションは右肩上がり。「全日本の合宿に呼ばれてうれしいし、何度でも参加したい」。将来についての質問にも「五輪に出で、お父さん(世界マスターズ選手権5位の正良氏)の記録を抜くこと」と、中学、高校と競技を続けることを宣言していた。

 合宿は6日まで。今年は伊豆稲取で行われているが、来年からは東京・国立スポーツ科学センター(JISS)で行われる予定だ。


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