【特集】社会人1年目の甘えを反省…男子フリー84kg級・松本真也【2007年5月10日】








 2006年に世界選手権とアジア大会に出場し、ともに“世界”で戦う手応えこそ感じられたものの、今一歩メダルに手が届かなかった男子フリースタイル84kg級の松本真也(警視庁)。今年1月に行われた天皇杯全日本選手権では、鈴木豊(自衛隊)に惜敗して優勝を逃しており、今回のアジア選手権は復活へ向けてのステップとなるはずの大会だった。

 だが、リー・ドュースー(韓国)との1回戦の第1ピリオド、松本は足が動かず、1分すぎバックを取られて1点をやってしまう。グラウンドの攻撃は粘って返されなかったが、全く攻撃できず0−1でこのピリオドを失った

 第2ピリオドでも開始早々両足タックルをくらって先制点を許したが、ここで気合が入ったか、攻撃に転じ、両足タックルとローリングを決め3−1と逆転。その後も積極的に片足、両足タックルに入りポイントを奪ったが、タックルに入った際に頭が下がり、足が止まったところを続けて返されて再逆転され、最後は5−6。まさかの1回戦敗退となった
(左写真=闘志が空回りした松本)

 大会前は「ケガもなく、調子は万全です」と語っていたが、社会人1年目ゆえの練習不足は否めず、松本本来の野獣のような突進は見られなかった。

 「試合の入り方からしてダメでしたし、基本的な動きも全くできませんでした。せめて、第2ピリオドの動きが試合開始の時点でできていれば…。日々の練習の大切さを改めて感じました。甘えていましたね」。学生時代は練習環境が整っていて、いくらでも練習ができた。社会人となった今は、自分で練習時間を確保しないといけない。

 この悔しさを6月の明治乳業杯全日本選抜選手権にぶつけたいところ。「日本に帰ったらしっかり時間の管理をして、少しでも長くレスリングの練習に割いて自分を追い込みます。プレーオフにも勝って、もう一度世界に挑戦します」と、日本代表奪取をきっぱり宣言した。

 韓国の選手が準決勝で敗れて敗者復活戦への道が閉ざされた瞬間、松本は気持ちを入れ換え、打倒・鈴木豊という新たな目標に向かった。“フレッシュマン”松本真也の本当の戦いが、いま始まった。

(文=宮崎俊哉)


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