伊調千春選手(ALSOK綜合警備保障)の世界選手権出場が微妙に【2007年5月10日】







 アテネ五輪女子48kg級銀メダリストの伊調千春選手(ALSOK綜合警備保障)が、北京五輪の第1次予選となることし9月の世界選手権(アゼルバイジャン・バクー)に出場できない可能性が出てきた。

 伊調千春選手は、現在キルギス・ビシュケクで行われているアジア選手権の第3日(5月10日)に出場予定で現地入りしているが、腰痛の状況が思わしくなく、試合の前日に欠場を決めた。

 国際レスリング連盟(FILA)は、大陸選手権の充実のため、世界選手権への出場には大陸選手権への出場を義務付けることとし(大陸選手権と世界選手権の選手の交代は可)、今年から運用する。

 このため、伊調千春選手は9日の計量には参加し、体重オーバーで計量失格した。日本チームは計量に参加したことで大会への出場と解釈し、世界選手権への出場は問題なしと判断した
(右写真=試合前のチームメートのウォーミングアップを見つめる伊調千=右から2人目)

 しかし、FILA副会長でもある日本協会の福田富昭会長は「FILAは、こうしたケースを出場と認めるかどうかは決めていない。今後話し合って決めることになると思うが、世界は(強すぎる)日本をつぶしにくる可能性があるので、出場とは認めないこともありうる。そうなったら、この階級は世界選手権へ出場できなくなる」と話した。

 また、63kg級のアテネ五輪金メダリストの伊調馨(ALSOK綜合警備保障)も、左太もも裏の肉ばなれが治らずに出場を断念したが、計量はパスしたうえで1回戦のマットに上がって棄権を申し出たので
(左写真)、こちらは出場と認められそうだ。しかし、正式にどう解釈されるかは不明。

 福田会長は日本から来た東京スポーツ新聞、日本テレビなどの報道陣に対し、「日本代表になりながら、けがで棄権するなんて、代表の自覚がなさすぎる。コーチ陣も、けがで出場できない可能性があるのなら、なぜ控え選手を連れてこなかったんだ。選手もコーチも考えが甘い。こんなことで、世界で勝てるか」と怒りをぶちまけながらも、今後、FILAに対し、“計量参加をもって出場”となるよう全力で働きかけるという。

 6月14日にスイス・ローザンヌで行われるFILA理事会で、この問題が正式に決まる見込み。

 今年のアジア選手権は、女子は世界選手権前の最後の実戦練習としてベストメンバーでの参加を福田会長から通達され、強化委員会は4月14日のジャパンビバレッジクイーンズカップの優勝選手を派遣することを決めた。同大会の直後、ALSOK綜合警備保障は負傷を理由に両選手の大会棄権を強化委員会に申し出たが、「大会までまだ期間がある。最初から棄権と決めるのではなく、出場を前提に治療に努めるように」と指示され、治療を続けながらビシュケク入りした。しかし、両選手とも試合ができる状況まで回復しなかった。



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