【特集】ライバルを破って5度目の世界大会へ…グレコローマン55kg級・豊田雅俊【2007年6月10日】







 グレコローマン55kg級は豊田雅俊(警視庁)が勝ち、アテネ五輪を含めて5年連続での世界大会出場を決めた。(写真上下:平井と闘う豊田)

 決勝の相手はお馴染みの顔合わせとなる平井進悟(ALSOK綜合警備保障)。昨年のこの大会の決勝では初めて敗れてしまったが、プレーオフで勝利し、依然リードを保っている状態だ。しかし大学の後輩でもあり毎年のように対戦しており、お互い手の内がわかっている。接戦が予想され、昨年同様プレーオフにもつれ込む可能性も考えられた。

 豊田にとってその事態は避けたいはずだが、「プレーオフでもいいかな、と思っていた」とさらりと答える。その表情には余裕が見られた。

 第1ピリオドは開始直後にポイントを取り、順調に試合を進めた。第2ピリオドではグラウンド時にローリングを決められ、勝負は第3ピリオドへ。0−0のあと、グラウンドでは先攻となったが、平井のディフェンスは固く無得点。しかし、残り30秒を守り切れば勝利を手にできる。

 両者必死の攻防は、最後は場外際の攻防でビデオ判定となり、一瞬の緊張もあったが、幼い子ら家族の声援のあと押しを受けた豊田の手が上がった。

 世界選手権とオリンピックを合わせた世界レベルの大会場は5年連続。「いかに自分のレスリングをかみ合わせるか」に意識を置いている。2年連続世界王者のハミド・レイハンプール(イラン)は過去闘ったことのある相手であり、「勝てない相手ではない」と断言。自分のレスリングに対する自信を垣間見せた。

 世界で勝つために足りないのは、技術面だという。世界に目を向けた時、スタンドで点を取りに行くアクションが大切になる。スタンドからグラウンドまで「自分の流れを作りたい」と目標も明確だ。あとは「世界選手権でメダルを獲得し、自分の手で北京の切符を取る」ことを実現させてほしい。

(文=神谷衣香、撮影=矢吹建夫)



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