【特集】84kg級からの“挑戦者”を一蹴…フリースタイル96kg級・小平清貴【2007年6月11日】








 フリースタイル96kg級は第一人者の小平清貴(警視庁)が4年連続6度目の優勝。「レスリング人生をかけて」(本人談)3度目の世界選手権に挑むことになった(右写真:決勝で闘う小平)

 決勝の相手は84s級からクラスを上げた磯川孝生(山口県協会)。国内ではここ数年は圧勝が続いていた小平だが、元84s級の実力者を相手に予想以上の苦戦を強いられた。

 第1ピリオドはポイントを上げられないまま延長戦の末に失った。第2ピリオドもまったく同じような展開となり、コイントスで再び攻撃権は磯川へ。「ああやっちゃった」と思ったという小平だが、世界の舞台を経験した選手はここからが違う。絶体絶命のピンチを冷静にしのぎ、30秒を守り切ってピリオドスコア1−1へ。

 第3ピリオドは息の上がった挑戦者に力強いタックルをヒット。勝利の瞬間、ガッツポーズを作ったチャンピオンは「久々に疲れました」とほっとした表情を浮かべた。

 強敵を退けて挑む世界選手権は今回が3度目。小平は世界での闘いを「1点取れば逃げ切れると思うし、逆に1点取られれば逃げ切られてしまう」と分析した上で、先取ポイントを課題に挙げる。先制するために重要なのが、一発を狙ってくる外国人選手に対してのカウンター攻撃だという。

 9月のアゼルバイジャンを「恐らく自分のレスリング人生で最後の世界選手権」と位置づける小平は「とにかく重量級で(五輪出場枠)ひとつ。自分か田中(章仁=FEG)が必ず取ってきます」とアテネでは夢に終わった重量級陣の五輪出場を約束した。

(文=渋谷淳、撮影=矢吹建夫) 


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