【特集】恵まれた環境へ進んで大きく飛躍…グレコローマン74kg級・鶴巻宰【2007年6月11日】








 グレコローマン74kg級は2004年全日本選手権で勝って以来日本一から見離されていた鶴巻宰(国士大)が本戦とプレーオフで勝ち、初の世界選手権代表権を獲得した。

 昨年に続く世界選手権出場を目指す菅太一(警視庁)の前に立ちはだかったのは、ケガでしばらく調子を落としていた鶴巻だった。鶴巻は準決勝で全日本2位の岩崎(銀水荘)にも準決勝で快勝し、難なく決勝に駒を進めた。

 決勝は第1ピリオドグラウンドでローリングを決めて取り、第2ピリオド両者譲らず、グラウンドの優先権の差で勝利。プレーオフではニアフォールまで追い込むなど菅との差をさらに広げ、落ち着いて勝利を決めた
(左写真=プレーオフ)

 3月に国士大を卒業し、自衛隊に入った。今までと違いレスリングだけに集中できる。専門外のフリースタイルを練習する必要もない。最高の環境で見事に結果を残したが、これだけでは満足しない。2回連続で菅に勝利したことも、「まだ自信にはつながらない。世界選手権で勝って、自信をつけたい」とやる気十分。

 全日本王者の経験はあるが、世界選手権出場は初めて。「やっとスタートラインに立てた」と胸をなで下ろす。2年前にはアジア選手権に出場したが、その時の気持ちとは全然違うという。「自分の力がどこまで通用するか、わくわくする」と笑顔を見せた。今まで出場した国際大会は3位ばかり。なかなか決勝に進めずにいるので、「その壁を越えたい」という。

 世界に向けて課題も見えている。「今は攻撃力が中途半端。1つか2つこれで返せるという技を習得したい」。今は向上心にあふれている。「出るからには1番」と本人も言うように、北京への切符に加え、1番光るメダルを持ち帰ってくれることを期待したい。

(文=神谷衣香、撮影=矢吹建夫)


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