【特集】“プロレス・ファン仲間”の加藤賢三に追いつく…グレコローマン120kg級・新庄寛和【2007年6月11日】








 全日本選手権の覇者、沢田直樹(徳山大職)が400gオーバーの計量失格で棄権したグレコローマン120kg級は、全日本選手権2位の新庄寛和(自衛隊)が制し、初の世界選手権代表に選ばれた。

 新庄は「沢田選手が計量失格に終わったのは、計量直後に知りました。できればやりたかったです」と複雑な心境になったようだが、今大会は世界選手権のみならず北京五輪の代表につながる大事な大会。世界代表未経験の新庄にとってはまたとないチャンスを得た大会だったといえる。

 平常心を保ちながら決勝までピリオドを落とさずに勝ち進んだ。決勝戦の相手は第2シードの中村淳志(拓大)。スタンドではともに攻め手を欠き、コイントスは第1Pが中村、第2、3Pは新庄が優先権を得た。その優先権を生かして、新庄がピリオドスコア2−1で勝ち、優勝を決めた
(右写真:中村と闘う新庄=赤)

 世界では、日本の重量級は厳しい現実を突きつけられている。昨年の世界選手権も120kg級の代表は両スタイルとも初戦敗退している。新庄は、初の世界選手権代表に「勝つことは厳しいことだが、日本の重量級が強いところを見せたい。グラウンドでひとつ(ポイントを)取りたい」と目標を掲げた。シニアの世界代表は2005年のアジア選手権以来。目標は控えめだったが、今回の世界選手権の目標は、北京五代表権獲得となる8位入賞だ。

 いつも練習をともにするグレコローマン96kg級の加藤賢三(自衛隊)は、前日に危なげなく世界選手権代表を決めた。加藤と新庄はともにプロレスファンで、加藤は入場曲に故・橋本真也のテーマソング「爆勝宣言」、新庄は三沢光晴のテーマソング「スパルタンX」だった。今のところプロレスラーへの転身は考えていないようだが、猛練習の息抜きにプロレスをよく見に行くそうだ。

 今年の世界選手権では、プロレスラーのようにスポットライトを浴びる存在になれるか!?

(文=増渕由気子、撮影=矢吹建夫)


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