6月18日から100日合宿…男子の夏の強化計画決まる【2007年6月14日】








 9月の世界選手権(アゼルバイジャン・バクー)での北京五輪出場資格獲得を目指す男子の全日本チームの今夏の強化計画が決まった。全日本チームの合宿が東京・国立スポーツ科学センター(JISS)と長野・菅平で4度行われるほか、フリースタイルはロシア〜ブルガリアへ、グレコローマンはブルガリアへ遠征し、現地のチームと合同合宿し、大会出場を予定している。

 フリースタイル5人、グレコローマン5人の世界選手権代表選手と各1人のコーチは、全日本合宿や海外遠征以外の時もJISSへ泊り込んで練習する通称“100日合宿”を敢行する。

 フリースタイルのコーチとして参加する和田貴広・日本協会専任コーチによると、早朝はJISSに併設されている陸上競技場などでランニング、午前中にマットで技術練習、午後はスパーリングなどの練習メニューを予定しているそうで、練習相手を求めて自衛隊や都内の大学への練習参加も予定している。「ビデオ研究なども含めてレスリング漬けの毎日になる。代表選手が同じ目標へ向かってレスリング漬けの生活をおくることで、団結力を高めたい」と話した。

 100日合宿は、1988年ソウル五輪前に行われた500日合宿にならい、2003年の世界選手権前と2004年アテネ五輪前にも実施した。

 また、グレコローマン60kg級の笹本睦選手(ALSOK綜合警備保障)と同84kg級の松本慎吾選手(一宮運輸)は全日本の遠征に先立ってグルジアへ遠征し、現地のチームと合同練習し、大会に出場する。その後、ブルガリアで全日本チームと合流し、大会へ出場する。松本選手はブルガリアでの大会出場のあと、ポーランドへ渡り、大会を視察して帰国する予定。

 全日本合宿、遠征、100日合宿のメンバーは下記の通り。


 ◎全日本合宿・遠征日程

【6月18日(月)〜24日(日)】


  東京・JISSで合宿(両スタイル)。「100日合宿」スタート・

【7月2日(月)】

  笹本睦(ALSOK綜合警備保障)・松本慎吾(一宮運輸)=グルジア・トビリシへ向けて出発。現地チームと合同練習(監督=大橋正教・ALSOK綜合警備保障監督)

【7月11日(水)〜18日(水)】

  長野・菅平で合宿(両スタイル)

【7月14(土)〜15日(日)】

  笹本睦・松本慎吾=カルトジア・エテ・バラバジック大会に出場

【7月16日(月)】

  笹本睦・松本慎吾=トビリシからブルガリア・ソフィアへ移動。

【7月23日(月)】

  グレコローマン=ブルガリア・ソフィアへ向けて出発し、現地チームと合同練習

    ⇒参加選手:55kg級・豊田雅俊(警視庁)、66kg級・飯室雅規(自衛隊)、74kg級・鶴巻宰(自衛隊)、コーチ・伊藤広道(自衛隊)。笹本、松本両選手も合流

  フリースタイル=ロシア・カリニングラードへ向けて出発し、現地チームと合同練習

    ⇒参加選手:55kg級・松永共広(ALSOK綜合警備保障)、60kg級・湯元健一(日体大助手)、66kg級・鈴木崇之(警視庁)、74kg級・萱森浩輝(新潟・県央工高教)、84kg級・鈴木豊(自衛隊)、96kg級・小平清貴(警視庁)、120kg級・田中章仁(FEG)、監督=和久井始(自衛隊)、コーチ・和田貴広(日本協会専任コーチ)

【7月27日(金)〜29日(日)】

  フリースタイル=ベログラゾフ国際大会に出場

【7月30日(月)】

  カリニングラードからブルガリア・ソフィアへ移動。現地チームと合同練習(フリースタイル)

【8月3日(金)〜5日(日)】

  グレコローマン:ニコラ・ペトロフ国際大会に出場

  フリースタイル:ダン・コロフ国際大会に出場

【8月6日(月)】

  帰国へ(帰国はグレコローマンが7日、フリースタイルが8日。松本はポーランドでピトラシンスキ国際大会を視察後に帰国)

【8月20日(月)〜26日(日)】

  JISSで合宿(両スタイル)

【9月3日(月)〜9日(日)】

  JISSで合宿(両スタイル)。「100日合宿」終了。


 ◎100日合宿参加者

【コーチ】
伊藤広道(自衛隊)、和田貴広(日本協会専任コーチ)

【グレコローマン】

 ▼55kg級 豊田雅俊(自衛隊)、▼60kg級 笹本睦(ALSOK綜合警備保障)、▼66kg級 飯室雅規(自衛隊)、▼74kg級 鶴巻宰(自衛隊)、▼84kg級 松本慎吾(一宮運輸)

【フリースタイル】

 ▼55kg級 松永共広(ALSOK綜合警備保障)、▼60kg級 湯元健一(日体大助手)、▼66kg級 鈴木崇之(警視庁)、▼84kg級 鈴木豊(自衛隊)、▼96kg級 小平清貴(警視庁) 


 500日合宿 1987年5月から1988年9月のソウル五輪前まで、東京五輪の選手村だった東京・参宮橋の青少年総合センターで実施した合宿。野田哲由トレーナー(のちにJリーグ、アビスパ福岡トレーナーほか)が常泊し、当初は各所属の監督やコーチが交代で泊り込み、88年4月からはモントリオール五輪金メダリストの高田裕司・現日本協会専務理事が当時の群馬・館林高教員を休職して常泊。選手の指導に専念した。

 1988年5月にソウル五輪代表が決まるまでは、階級によっては日本代表を争う2、3選手が同宿しライバル意識が充満。この合宿を経て、フリースタイル48kg級の小林孝至、同52kg級の佐藤満がともに金メダル、同90kg級の太田章、グレコローマン52kg級の宮原厚次がともに銀メダルを取った。

 近くに代々木公園があり、ランニングする場所には不自由しなかったが、マットが常設されていたわけではなく、食事も一般のセンター使用者と同じだった。JISSではマットが常設されており、ウエートトレーニング場やメディカル施設が完備。栄養士のつくったスポーツ選手向けの食事が提供される。他競技のナショナルチームも合宿し刺激になるなど、環境的には500日合宿より恵まれている。


 



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