【特集】霞ヶ浦高校との合宿などが実る…男子47kg級・鴨居正和【2007年6月25日】







 日本の高校レスリング界にさん然と輝く金字塔を打ち立て、今も発展し続ける霞ヶ浦高校。その霞ヶ浦高が初めて日本一に輝いた時のメンバーの一人、山下忍さんが率いる高松クラブ所属の鴨居正和(香川・紫雲3年)が、男子47kg級を制した。香川県からは17年ぶりの優勝。時に霞ヶ浦高校へも合宿に行く努力が実った。

 準決勝までの4試合は失ポイントなしの快勝続き。決勝の桑原諒(静岡・焼津)戦はポイントを取られ、苦戦したが、最後は9−4、6−4での勝利。「山下先生やみんなの応援があったから頑張れた」と話し、霞ヶ浦高校の選手からも祝福されてうれしそう。「合宿や練習試合を十分にこなしてきた。それがよかったと思います」と言う。

 「まだ倒さなければならない選手は多くいる」と、この優勝をステップに飛躍を目指す鴨居は「技術よりも、まず粘りといった精神的な強さをもっと身につけたい」と話した
(左写真=高松クから初の王者に輝いた鴨居)

 四つ子の末っ子。生まれた時の体重は約1600グラムで未熟児だったという。しかし、他に兄が1人いるというにぎやかな中で大きく育ち、レスリングをやっているのは一人だけだが、全員がスポーツに打ち込んでいるスポーツ兄弟。母・恵子さんは「あの子は特別に元気に飛び跳ねる子でした」と言う。

 故郷に錦を飾った形の山下さん(注・生まれ故郷は東京都八丈島)は「沖山(功)コーチのおかげです」と謙虚に語ったが、「高校生ともばんばん練習させてきた。その成果が実ってうれしい…」と話したところで涙がこみあげ、手で顔を覆った。

 全国少年少女選手権ではすでに優勝選手を輩出していたが、若かりし時をすごした地での優勝の味は格別な様子。「(霞ヶ浦高の)大沢監督の気持ちが分かりました。教え子が立派な成績を挙げてくれると、うれしいし、やりがいを感じる。大沢監督のような指導者になりたい」と、気持ちを新たにし、最高の思い出を持って故郷を後にした。

(撮影=矢吹建夫)


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