湯元進一(自衛隊)が05年世界3位を破って優勝…ダン・コロフ国際大会【2007年8月4日】







 
【ソフィア(ブルガリア)発、ビル・メイ記者】欧州遠征中の男子フリースタイルの全日本チームは8月3日、「ダン・コロフ国際大会」に出場。55kg級の湯元進一(自衛隊)が前週の「ベログラゾフ国際大会」(ロシア)に続いて優勝した(右・下写真)

 66kg級の鈴木崇之(警視庁)と120kg級の田中章仁(FEG)が5位に入賞したが、74kg級の萱森浩輝(新潟・新潟県央工高教)、84kg級の鈴木豊(自衛隊)、96kg級の小平清貴(警視庁)は上位入賞ならなかった。60kg級の湯元健一(日体大)は腰痛のため、大事をとって棄権した。

 湯元進は、初戦で2005年世界選手権3位のナランバータル・バヤラー(モンゴル)に対して積極的な攻めでテクニカルフォール勝ち。2回戦で昨年世界ジュニア選手権3位のスベトスラフ・ネイチェフ(ブルガリア)に対して確実な防御を見せ、危なげない勝利。準決勝はフォールで勝ち、決勝はロシア選手を破った。

 湯元進は「私は(世界選手権の)日本代表メンバーではない。(後のことを考えず)この遠征の試合を思い切って闘うだけでした」と連続優勝の原動力を分析。「松永(共広)さん、田岡(秀規)さんも勝っている大会。2人に追いつきたかった」と話した。和田貴広コーチ(日本協会専任コーチ)は「いつも松永と良いスパーリングしている。遠征前から湯元が結果を残すことを期待をしていた」と、湯元の初めての国際試合経験を評価した。

 初顔の多いフリースタイル・チームにおいて、66kg級の鈴木崇の踏ん張りも特筆もの。前週の「ベログラゾフ大会」は計量失格。そのミスをそそぐべく発奮し、初の国際試合にもかかわらず5試合で3勝2敗と評価できるの成績を上げた。しかし、3位決定戦では元74kg級の世界チャンピオンで地元のニコライ・パスラルに、欧州選手特有のパワーや戦術に翻ろうされ、キャリアの差を見せられたメダル獲得を逃した。

 120kg級の田中は、パワーのある外国選手相手に粘りのある試合を展開し、5位に入賞。準決勝の地元のブルガリア戦は、微妙な判定の末の黒星。04年に当地で行われたアテネ五輪最終予選の最後の試合を思い出させた微妙な判定の試合だった。

 各選手の成績は下記の通り。チームは23日から約2週間にわたるロシア・ブルガリア遠征を終了。帰国後、9月の世界選手権へ向けて最後の調整に入る。(撮影もビル・メイ記者)


 【55kg級】湯元進一(自衛隊)     優勝=13選手出場

【2回戦】昨年の世界ジュニア選手権3位を攻める湯元(赤) 【準決勝】通称パンケーキからフォールを決めた湯元(赤)

1回戦 ○[2−(TF7-0=1:31,TF6-0=1:52)]Naranbaatar Bayaraa(モンゴル)

 
《試合経過》湯元は05年世界3位の相手に対し、くぐってバックを取ってから、アンクルホールド2回転とローリングでテクニカルフォール。第2ピリオド、相手はラフなスタイルにきたもの、湯元は冷静にバックへ回り、横崩しで5秒ボーナス・ポイントをもらい、またもテクニカルフォール。

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2回戦 ○[2−0(1-0, 2-1)]Svetoslav Neychev(ブルガリア)

 
《試合経過》昨年世界ジュニア選手権3位の相手に対して、第1、2ピリオドとも両足タックルが決まり、相手の攻撃をしっかり守り切った。

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準決勝 ○[フォール、1P1:53(F8-2)]Zhassular Mukhtarbekuly(カザフスタン)

 
《試合経過》湯元は首投げで3−2とリード。それから、相手のタックルをうまくカウンターで返し、通称パンケーキを決めてフォールに持ち込んだ。

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決 勝 ○[2−0(1-0, 6-2)]Labazan Askerbiev(ロシア)

 
《試合経過》湯元は第1P、タックルにうまく入って持ち上げた。きれいに落としたものの場外だったので1点だけだったが、第1ピリオドを先取。第2ピリオドは1−2とリードを許したものの、もう一度タックル入って持ち上げた。今度は背中からマットに落として3点。そのあと横崩して2点を加え、優勝を決めた。


 【60kg級】湯元健一(日体大)    腰痛のため、大事をとって棄権


 【66kg級】鈴木崇之(警視庁)     5位=23選手出場

【1回戦】タックルをカウンターで返しバックへ回る鈴木(青) 【3回戦】ロシアのローシングルを守れず、鈴木(青)が無念の黒星 【敗者復活戦】がぶりからの外無双で決勝の1点取った鈴木(青) 【3位決定戦】低身の元世界王者をせめあぐんだ鈴木(赤)

1回戦 ○[2−0(2-0, 2-0)]Manuel Ortiz(スペイン)

 
《試合経過》鈴木は両足タックルを3度決めて快勝。

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2回戦 ○[2−0(1-0, 3-2)]Asset Dukenbaev(カザフスタン)

 
《試合経過》第1ピリオドは鈴木が1−0で取った。第2ピリオド、鈴木はタックルに入ったが、返されてしまった。しかし、体を入れ替えて上になり、ガッツレンチで逆転勝ち。

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3回戦 ●[1−2(2-0,0-1=2:10,0-1)]Rasul Djukaev(ロシア)

 
《試合経過》鈴木は第2ピリオド、コイントスで有利な体勢を取ったが、逆に場外に押し出された。ピリオドスコアは1−1。相手は第3ピリオド後半にローシングルで1点を獲得。鈴木がスイッチできず、これが決勝のポイントとなった。

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敗復戦 ○[2−1(2b-2, 0-3, 4-3)]Csaba Mihaly(ルーマニア)

 
《試合経過》鈴木は相手のタックルをカウンターで返し、2−2ながらビッグポイントの差で第1ピリオドを先取。第2ピリオドは相手のタックル・カウンターで0−3。第3ピリオドの中盤、鈴木がタックル入って、相手がカウンターで返して3−3。しかし、鈴木はすぐがぶりからの外無双でポイントを獲得。4−3で勝った。

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三決戦 ●[0−2(0-2, 1-6)]Nikolai Paslar(ブルガリア)

 
《試合経過》身長が156cmの元74kg級の世界チャンピオン相手に、鈴木はタックルにうまく入れない。場外に押し出されて、バックに回れ、がぶりのミスで3失点するなどして敗れた。


 【74kg級】萱森浩輝(新潟・新潟県央工高教)     12位=17選手出場

1回戦 ●[1−2(1-0=2:15,0-3,0-2)]Ivan Deliverski(ブルガリア)

 
《試合経過》萱森はクリンチで第1ピリオドを獲得。第2ピリオドを取られた後、第3ピリオド、片足タックルに入ったもののポイントにつなげられない。逆にラスト15秒、相手に外の片足タックルを取られ、敗れた。


 【84kg級】鈴木豊(自衛隊)     8位=16選手出場

【1回戦】06年アジア王者相手に逆転で勝った鈴木(赤)

1回戦 ○[2−0(5-4,2-1)]Ganzorig Ghagnaadorj(モンゴル)

 
《試合経過》鈴木は第1ピリオドの中盤に0−4リードをされたものの、2−4とし、バックへ回って投げて5−4と逆転。第2ピリオド、バックを取って、昨年のアジア・チャンピオンに勝利。

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2回戦 ●[0−2(1-7=1:10,0-8=1:17)]Gennadiy Laliyev(カザフスタン)

 
《試合経過》鈴木は一本背負い、大外刈りのような投げで投げられ、第2ピリオドでも3点タックルを受け、2ピリオドともテクニカルフォールで敗れた。


 【96kg級】小平清貴(警視庁)     11位=19選手出場

1回戦  BYE

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2回戦 ●[0−2(0-3,2-3)]Nurzhan Katayev(カザフスタン)

 
《試合経過》小平は胴タックルを許して、第1ピリオドを落とした。第2ピリオドは小平がゴービハインドと場外押し出しで2−0とリード。 しかし、アジア3位のカタエフはラスト20秒、前へ崩してバックを取り、それからガツレンチで逆転。

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敗復戦 ●[0−2(0-2,1-2)]Emara Saleh Moustafa(エジプト)

 
《試合経過》小平は相手の低いタックル攻撃を止めることができなかった。特に第2ピリオド、小平が1−1ながらラストポイントを取っていて有利だったが、ラスト20秒に片脚タックルを許してしまい、反撃できなかった。


 【120kg級】田中章仁 (FEG)     5位=11選手出場

【2回戦】胸を絞めてのローリングで田中(青)が勝つ


1回戦  BYE

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2回戦 ○[2−1(0-1=2:18,6-0=0:32,5-3)]Jose Cuba(スペイン)

 
《試合経過》クリンチで第1ピリオドを落とした田中は、第2ピリオド、飛行機投げで相手を倒して、胸にクラッチを組んでローリング2回転でテクニカルフォール勝ち。第3ピリオドは0−3リードをされたが、カウンターと胸を絞めての横崩しで逆転。

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準決勝 ●[0−2(0-3,1-2)]Bojidar Boyadjiev(ブルガリア)

 
《試合経過》田中の飛行機投げのミスで相手が第1ピリオドを先取。田中は第2ピリオド、タックルでリードを奪ったが、後半に相手のがぶり返しで逆転された。田中の2点もあったのと審判にアピールしたが、認められなかった。

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三決戦 ●[0−2(0-5, 0-2)]Andrei Svatkovskiy(カザフスタン)

 
《試合経過》第1ピリオドは押し出されて、第2ピリオドは両脚タックル。相手のパワーとスピードに太刀打ちできなかった。



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