松本慎吾(一宮運輸)が世界3位破って銅メダル…ニコラ・ペトロフ国際大会【2007年8月5日】







 
【ソフィア(ブルガリア)発、ビル・メイ記者】欧州遠征中の男子グレコローマンの全日本チームは8月4日、ブルガリア・ソフィアで行われた「ニコラ・ペトロフ国際大会」に出場、84kg級の松本慎吾(一宮運輸)が時に5点となる俵返しを決める好調さで、銅メダルを獲得した(写真)

 他の選手は、74kg級の鶴巻宰(自衛隊)は3位決定戦で敗れて5位となったのが最高で、上位入賞はならなかった。60kg級の笹本睦(ALSOK綜合警備保障)は初戦で昨年世界3位のブヤチェスラフ・ザステ(ロシア)に敗れて敗者復活戦へ回ることができなかった。

 松本は5試合闘って4勝1敗。4勝の中には、昨年世界3位で今年のアジア王者のサマン・タフマセビ(イラン)に苦みながらも勝つという貴重な白星も。しかし準決勝で敗れたメロニン・ヌモンビ(フランス)には、これで対戦成績が3戦3敗となった。松本は「パーテール・ポジションからの攻撃のスタートがうまい選手。私も、そのスタートを改善しないとならない」と話し、「合宿ではスパーリングしたことがある。彼を破るためにどんな練習をしなければならないか分かっています」と続けた。

 準決勝戦に敗れたものの、3位決定戦は積極的に闘い、この日の最高のレスリングしたと強調するためか、最後に5点となる俵返しを決めて銅メダルを手にした。

 ほかの日本の選手はメダルを獲得できなかったものの、世界選手権に初出場する74kg級の鶴巻は、ちょっと違うレスリングを見せて、5位に入賞。3回戦で世界ジュニア選手権3位のエフゲニー・ポポフ(ロシア)相手に果敢に技を仕掛けたものの、失敗して敗れてしまった。

 笹本は世界3位のザステ(ロシア)相手にいいレスリングを見せたものの、フライイングのペナルティーを受けて黒星。ザステは準決勝でセルビアの新星、ステファニク・ダボールに敗れ、笹本は敗者復活戦に回れなかった。

 各選手の成績は下記の通り。日本チームは23日からのブルガリア遠征を終え、5日に当地を発ち、6日に帰国するが、松本はポーランドへ渡り、練習と大会視察をして帰国する。(撮影もビル・メイ記者)


 【55kg級】=日本のエントリーなし


 【60kg級】豊田雅俊(警視庁)     11位=16選手出場

1回戦 ●[0−2(1-4,1-2)]Sudju Soner(トルコ)

 《試合経過》第1、2ピリオドともリードを奪った豊田だが、第1ピリオドは相手に俵返しを許し、第2ピリオドはスイッチのミスで背中からマットに落ち、ともに逆転された。


 【60kg級】笹本睦(ALSOK綜合警備保障)     10位=16選手出場

1回戦 ●[0−2(1-1L,1-3)]Vyacheslav Dzhaste(ロシア)

 《試合経過》世界3位のザステにラスト・ポイントを取られて第1ピリオドを落とした笹本。第2ピリオドは、巻き投げで先制したものの、パーテールポジションで2回フライングをしてしまい、2点のペナルティを受けて敗れた。


 【66kg級】飯室雅樹(自衛隊)    11位=20選手出場

1回戦   BYE

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2回戦 ○[2−1(1-2,5-0,4-0)]Tizziano Gorriga(イタリア)

 《試合経過》微妙な判定で第1ピリオドを落とした飯室だが、第2、3ピリオドともにリフト技が決め、快勝した。

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3回戦 ●[0−2(0-6=1:45,0-7=1:12)]Ambako Vachadze(ロシア)

 《試合経過》飯室は相手のローリングを止められず、左手の親指を負傷したこともあって第1、2ピリオドともテクニカルフォールで敗れた。


 【66kg級】藤山慎平(日体大助手)     10位=20選手出場

【2回戦】初戦白星で上位を狙った藤山だが、力及ばす


1回戦 ○[2−0(2-1,6-1)]Georgian Carpen(ルーマニア)

 《試合経過》藤山は第1ピリオド、変形のがぶり返しで先取。第2ピリオドは俵返しをうまく決めて快勝した。

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2回戦 ●[1−2(3-0,0-3,2-2C)]Mohammadi Ali(イラン)

 《試合経過》藤山は相手のフライングで有利な状況をつくったが、相手のリフト技を守るため自分の足に相手に絡めてしまい、痛恨の2点ペナルティを受けてしまった。


 【74kg級】鶴巻宰(自衛隊)    5位=19選手出場

【敗復戦】ラスト10秒にローリングを決め、銅メダルに期待をつなぐ。 【三決戦】銅メダルを狙った鶴巻だが、力及ばす。


1回戦  BYE

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2回戦 ○[2−0(1L-1,3-1)]Bedel Umid(トルコ)

 《試合経過》第2ピリオド、パーテールポジションの下から相手を返した鶴巻が快勝。

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3回戦 ●[1−2(0-4,3-1,1-4)]Evgeny Popov(ロシア)

 《試合経過》第1ピリオドを取られた鶴巻は、第2ピリオド、相手を後ろに倒してピリオドスコアを1−1としたが、第3ピリオドは波に乗れず、昨年の世界ジュニア選手権3位の選手に2度返された。

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敗復戦 ○[2−0(3-0,3-0)]Goran Bulatovic (モンテネグロ)

 《試合経過》鶴巻は第1、2ピリオドともパーテールポジションで柔軟な防御を見せて先制し、ともに上からしつこく攻めて、ラスト10秒にローリングを決めた。

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3位決定戦 ●[0−2(0-6,3-0)]Malmut Altay(トルコ)

 《試合経過》鶴巻はトルコのベテランのガツレンチを止められなかった。相手はローリング3度回して、十分なポイントを取った。


 【84kg級】松本慎吾(一宮運輸)    3位=21選手

【1回戦】初戦でフォール勝ち。幸先いいスタートを切った松本。
【2回戦】世界3位の攻撃をしのぎ、貴重な白星をゲット。 【3回戦】必殺技が爆発。順調に勝ち進んだが…。


1回戦 ○[フォール、2P1:22(3-0,F3-0)]Dejan Franjkovic(セルビア)

 《試合経過》松本は変形がぶり返しを第1、2ピリオドともともに使う好調ぶり。第2ピリオドは返してから上に乗り、フォールを決めた。

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2回戦 ○[2−1(1-1L,2-1,1L-1)]Saman Tamahsebi(イラン)

 《試合経過》昨年の世界3位であり、今年のアジア王者に対し、松本はよく闘い、ともにポイントがなかなか取れない。松本は第3ピリオドのラスト30秒、堅い防御を見せ、31秒に返されたものの、タイムの方が早かった。

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3回戦 ○[2−0(TF6-0=1:15,TF6-0=1:22)]Mohamed Judjedag(トルコ)

 《試合経過》松本は首投げ2回、俵返し2回などタイミングがいい技を仕掛け、2ピリオドともテクニカルフォール勝ち。

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準決勝 ●[0−2(TF0-7=1:15,1-2C)]Melonin Nuomonvi(フランス)

 《試合経過》第1ピリオドはフトを2度決められ、あっという間に終了。第2ピリオドのパーテールポジションはよく守ったものの、攻撃ではクラッチを組めずにペナルティを取られて敗れた。

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3位決定戦 ○[2−0(5-2,TF10-0=1:07)]Georgi Zayakov (BUL)

 《試合経過》第1ピリオドのの2度のビデオチェックでペースを乱されたかに見えた松本だが、第2ピリオド、大きな俵返しを2度上げ、最後は5ポイントのリフトを決めて快勝。


 【96kg級】加藤賢三(自衛隊)    19位=19選手出場

【2回戦】健闘むなしく、1・2回戦を連敗


1回戦  BYE

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2回戦 ●[フォール、1P1:43(F0-4)]Vasily Teploukov(ロシア)

 《試合経過》ヨーロッパ3位のテプロコフが下の体勢から持ち上げ、きれいにマットに倒してフォール。

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敗復戦 ●[フォール、1P1:54(F0-3)]Vincent Vidal(フランス)

 《試合経過》加藤はパーテールポジションの攻撃チャンスをもらってがぶり返しを掛けたものの、相手が上になり、そのまま抑えられた。


 【120kg級】=日本のエントリーなし




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