【特集】ライバルとの対戦成績をタイに持ち込み2冠達成…66kg級・富塚拓也(群馬・関東学園大付)【2007年8月19日】







 66s級の富塚拓也(群馬・関東学園大付)が全国高校グレコローマン選手権で勝ち、今月初めのインターハイに続いて2冠を達成。決勝でライバルの生天目達也(茨城・霞ヶ浦)を豪快に下し、「俵返しが得意なのでグレコの大会は少し自信があった」とさわやかな笑顔を見せた。

 決勝はスタイルこそ違え、インターハイと同じカードになった。パワフルでバネのある生天目に対し、富塚の立てた作戦は「第3ピリオドに持ち込んでスタミナで上回る」。しかし、圧巻の大技はプランに反して第1ピリオドに飛び出した。

 最初のコイントスで攻撃権を得たインターハイ王者は相手がロックを切ろうとした一瞬のスキを突いて俵返しを仕掛けた。これが見事に決まり、生天目はたまらず背中からマットへ。そのまま力強くフォールへ持ち込むソツのない攻めは鮮やかの一言に尽きた。

 これでライバルとの通算成績は2勝2敗。連勝で勝敗をタイに持ち込んだ要因は、大川コーチとの徹底したスパーリングだった。国体で3位入賞経験もある大川コーチとの練習は「いつもボコボコにやられている」という激しさ。練習で苦しんだ結果、「対戦相手はコーチに比べれば強くない」と自信を持って試合に臨めるようになったという。

 小学校2年から足を運んだ地元のキッズクラブ、明和レスリングクラブの存在も見逃せない。インターハイの直後も真っ先に練習に参加するなど、かつての学び舎には休日などを利用して積極的に顔を出している。「子どもたちの相手をすると初心に返れるし、新鮮な気持ちになれる」からだ。

 今後、さらなる飛躍が期待される富塚は「まだまだ課題だらけ。今大会も50点くらいの内容です」と謙遜するが、最近のパフォーマンスを見る限り、同級で一歩抜け出しつつあるのは事実だろう。当面の目標は「国体で優勝して3冠を達成したい」。背筋を伸ばして3冠宣言する表情は自信に満ちていた。

(文・撮影=渋谷淳)


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