【特集】ケガを克服した59kg級・中田絵理子(早大)が中京女大に一矢報いる【2007年8月22日】







 全日本学生選手権の女子59kg級を制したのは中田絵理子(早大=
右写真)。早大女子選手で初めてのインカレチャンピオンになると同時に、中京女大勢の全7階級制覇を阻んだ。

 粘りの勝利だった。初戦は一昨年と昨年のインカレ・チャンピオンの島田佳代子(日大)と対戦。1−1で迎えた第3ピリオドはリードを許す苦しい展開ながら、残り1秒で追いついてラストポイント勝ちした。決勝も梶田瑞華(中京女大)に先制点を許しながら、第3ピリオドに得意のレッグホールドを決めて逆転。劇的な勝利を決めた中田は「島田さんは2年前のインカレ、梶田さんは高校時代に負けていたので、今日は2つともリベンジです」とニッコリ笑ってみせた。

 6歳からレスリングをはじめ、立命館宇治高時代の2003年にはジャパンクイーンズカップのカデット60s級で優勝し、翌04年にはカザフスタンで行われたアジア・ジュニア選手権で優勝するなど結果を出した。4歳上の姉は陸上100m走の全国中学生チャンピオン、13歳上の兄はラグビーの名門、京都・伏見工で花園ラガーマンという良血は、当然のことながら大学でも活躍が期待された。

 ところが大学に入学すると、待っていたのはケガとの闘いだった。ヒザを負傷するなどして大会に出場しても成績は振るわず、大学2年になった昨年9月には、脱臼癖のあった右肩を手術して半年間のブランクを作った。今年の春先にようやく本格的に復帰を果たし、男子選手と一緒になって練習に明け暮れた。大学入学後、初めて手にしたタイトルが今回の優勝だった。

 長いトンネルから抜け出した中田は「落ち込んだ時もあったけど、今日の勝利で一つの自信がついたと思います。目標ですか? 全日本選手権優勝と言いたいですね」とビッグタイトル獲得に意欲十分。早大女子初のインカレ王者を生んだ太田拓弥監督は「今日は中女に一矢報いてよかった。これからも女子を盛り上げてほしい」と愛弟子のさらなる飛躍に期待を寄せていた。

(文・撮影=渋谷淳)


《iモード=前ページへ戻る》

《前ページに戻る》