【特集】スタンド・グラウンドとも満点の優勝…男子グレコ84kg級・斎川哲克(日体大)【2007年8月23日】







 2004年にグレコローマンとしては大会史上4人目の学生王者に輝いた84kg級の斎川哲克(日体大=
左・下写真)が、それ以来、3年ぶり2度目の全日本学生選手権を制した。

 2年間優勝から遠ざかったのは、05年は肩の負傷で長期戦線離脱し、06年は腰痛に悩まされて3回戦敗退。「3年ぶり」を指摘されると、「そうですね」と苦笑い。1年生で王者に輝いた時は、当然4連覇を考えたそうで、そのあたりに無念そうな表情が浮かんだが、「すぎたことは忘れましょう。勝てなかった経験も無駄ではなかった」と言う。

 今大会は初戦(2回戦)から決勝までの5試合をすべて2−0の勝利。結果もさることながら、スタンドでの“寄り切り(押し出し)”あり、グラウンドでの豪快なリフト技あり、ローリングありと文句のつけようのない内容。学生間では大きく抜け出している現実を見せつけての優勝だった。

 斎川の理想とする試合展開は、現在のグレコローマンの主流の展開(?)でもある“グラウンドで勝負”ではなく、スタンドでポイントを取ること。それも、「スタンドで相手を動かして、ばてさせて」ではなく、「スタンドでポイントを取る」というレスリングを目指す。「そうすれば、グラウンドでは攻撃からスタートでき、さらにポイントを取れるチャンスを得られるから」と説明する。

 今大会に限れば、その勝ちパターンがうまくできたわけだが、斎川は「あまり強い選手がいなかっただけ。今のままでは松本さん(慎吾=全日本王者)には勝てない」と、自分の力をシビアに分析。打倒松本を果たすべく、さらなる努力を続けるつもりだ。

 そのためにも、このあと出場する大会はすべて勝ち進みたいところ。23日からのフリースタイルにも96kg級で出場する予定で、国体(96kg級)、全日本大学グレコローマン選手権と無敗を続け、12月の全日本選手権で松本のが城に挑む。

 「松本さんは(9月の世界選手権で)五輪出場権を取ってくると思う。それを奪う、という気持ちがないと、次につながらない」。きっぱりと打倒松本を宣言した。

(文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫)


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