イラク・チームが来日、全日本チームと合同練習【2007年8月29日】

日本チームと顔合わせ イラク・コーチのあいさつ 日本選手と練習

日本選手と練習
無骨そうな選手が多いが、根は明るい!


 イラクの世界選手権代表チームが8月27日、当初の予定より1週間遅れて来日。28日に東京・国立スポーツ科学センター(JISS)で100日合宿を実施している日本代表チームと合同練習を開始した。

 当初は20日に来日する予定だったが、フライトの関係で日程がずれ、27日の来日となった。その日は休養し、28日午前から日本チームに合流。自衛隊の選手も練習に加わった中で日本のレスリングを学んだ。

 イスラム圏に属するイラクはもともとレスリングは盛んで、サッカーに次ぐ人気のあるスポーツ。しかし、イラン・イラク戦争、湾岸戦争、イラク戦争と戦禍が続き、競技力はかなり落としている。現在、レスリングをやっている選手は、大半が学生。社会人になると、働いて生活することが精いっぱいで、国策でレスリングを“仕事”とする選手(政府機関に所属してレスリングをやる選手)でなければ、レスリングができる環境ではないという。

 練習場は戦争によって破壊され、レスリング場と呼べる場所はほとんどなし。わずかなすき間に古いマットをしいて練習するなど環境は悪く、都市部でも停電となることが多いので、夜は練習できない。しかも、時に自爆テロが起きるなど治安はまだ不安定。安心してレスリングに専念できないため、できるだけ外国に練習場所を求めているという。フリースタイル120kg級のヤフヤ・アブドゥルカレーム選手は「予定どおり、20日に日本へ来たかった」と話した。

 アブドゥルカレーム選手は「アメリカが攻撃してきたことで、私たちの練習環境は最高に悪くなりました。1日も早く復興し、安心してレスリングの練習ができるようになってほしい」と話し、日本のレスリングに対しては「とても強い選手が数多く出ています。いろいろと学んで帰りたいと思います」と話した。

 今年の世界選手権には両スタイルにフルエントリーの予定。イスラム教の国である同国では、女子はやっていないが、アブドゥルカレーム選手は「いずれやる日がくるんじゃないかな。やってもいいんじゃないかな」と話した。

 また、この日の夜は招待した外務省が主催して歓迎レセプションが行われ、日本協会の福田富昭会長が「3年前にサッカー協会がイラクを招待し、川渕三郎会長から『イラクではサッカーとレスリングが二大メジャースポーツ。レスリングも招待しろ』と言われたが、金銭の余裕がなく、できなかった。招待を実現してくれた外務省に感謝したい」と話し、イラク・チームの全員にジャージ上下を贈呈した。

 イラク・チームは9月になると山梨学院大学で約1週間練習し、その後、再び東京へ。13日まで滞在する。

歓迎レセプション。今回の招待は外務省のイラン復興支援事業として実現した。 日本協会の福田富昭会長がジャージ上下を贈呈。 新聞記者から取材を受けるキャゼム・イラク・レスリング協会事務局長。


《iモード=前ページへ戻る》

《前ページに戻る》