【特集】慎重になりすぎ、俵返しの洗礼…男子グレコローマン66kg級・飯室雅規(自衛隊)【2007年9月17日】








 男子グレコローマン66kg級に2回戦から登場したのは6度目の世界選手権出場となった飯室雅規(自衛隊)。だが、初対戦となるアルマン・アディキャン(アルメニア)に対し、1ピリオドも取ることができず0−2で惨敗。「自分の普段の勢いを見せることができなかった」と悔しさを残しマットを去った。

 相手が第1、2ピリオドの勝負を決めたのはともに俵返しだった。俵返しといえば飯室の得意技。2005年に5月にクロスボディロックの体勢からグラウンド・レスリングの攻防がスタートするようにルールが改正され、その直後のアジア選手権(中国)で銀メダル、昨年のドーハ・アジア大会でも銅メダルを取るなど国際舞台でも結果を残していた。

 しかし、この日2回とも俵返しを決めたのは飯室ではなくアディキャン。奇しくも飯室と同様に俵返しを得意とする選手だった。「ビデオを見てフェイントから仕掛けるから、ひっかからないように」と警戒していたが、慎重になりすぎたか、「腰が浮いてしまってぐっと持っていかれてしまった」と言う
(左写真)

 ここで負ければ後がない第2ピリオド、飯室は先にグラウンドの攻撃権を獲得した。だが相手に立たれて技を決めることができない。それでも、守り切ればラストポイントでこのピリオドを勝ち、第3ピリオドまで引っ張ることができる。何としてでも守り切りたいところだったが、その思いは通じなかった。

 「ディフェンスの時、フェイントをしてしまい(注意を受ける)、2回目でちょっと見ていたら持っていかれてしまった」。この日2度目となる豪快な俵返しが勝負を決めてしまった。

 「体重も順調に落としていけていた」と調整がうまくいっていただけに、もったいなさが残る。「もっと攻めたかった」。前を向いて一つ一つ振り返るように語った飯室は、味わった悔しさを忘れず、必ず次へとつなげていくに違いない。

(文=藤田絢子、撮影=矢吹建夫)



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