加藤賢三(自衛隊)が5位に入賞し五輪出場資格獲得…世界選手権第2日【2007年9月18日】







 北京オリンピックの出場資格をかけた2007年世界選手権第2日は9月18日、アゼルバイジャンの首都バクーのヘイダル・アリエフ・スポーツアリーナで男子グレコローマンの3階級が行われ、96kg級の加藤賢三(自衛隊=
右写真)が5位に入賞し、五輪出場資格を獲得した。日本協会の定めた規定により、12月の天皇杯全日本選手権で優勝すれば北京五輪の日本代表に決まる。

 加藤は首投げによるフォール勝ち2試合を含めて3連勝して準決勝へ。準決勝ではミンダウガス・エゼルスキス(リトアニア)に敗れ、3位決定戦でもガセム・レザエイ(イラン)に敗れた。

 日本のグレコローマンで90kgを超える階級で3位決定戦へ進出したのは、1986年90kg級の森山泰年以来、21年ぶりの快挙。

 74kg級の鶴巻宰(自衛隊)は2回戦でロシア選手を破るなどしたが、3回戦でペテル・バクシ(ハンガリー)に敗れ、84kg級の松本慎吾(一宮運輸)も初戦で昨年3位のサマン・タフマセビ(イラン)に敗れ、ともに敗者復活戦へは回れなかった。

 各選手の成績は下記の通り。(撮影=矢吹建夫)


 ◎男子グレコローマン

 【74kg級】鶴巻宰(自衛隊)    54選手出場

1回戦 ○[2−1(3-0,3-4,@L-1)] Ayet Ikram Zied(チュニジア)

 《経過》第1ピリオドのスタンドは0−0。グラウンドの防御をこらえた鶴巻は(1−0)、攻撃でガッツレンチを決めて3−0。第2ピリオドはスタンドの闘いで鶴巻がそり投げ気味に投げで3点。グラウンドの攻撃でポイントを取れず(3−1)、防御で俵返しを受けて3点を取られ3−4。このピリオドを落とした。

 第3ピリオドはスタンドで0−0のあと、グラウンドの防御はお互いにポイントが取れず。ラストポイントによって鶴巻の手が上がった。

【1回戦第2P】頭をつけてくる相手。やりづらそうな鶴巻(赤)だが…。 【1回戦第3P】がぶり返しを狙う。不発だったが、このピリオドをしっかり取る。

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2回戦 ○[2−1(0-2,@L-1,@L-1)] Evgeny Popov(ロシア)

 《経過》第1〜3ピリオドともスタンドは0−0で、コイントスはいずれも鶴巻が勝った。第1ピリオドは攻撃で得点できず、防御では低い俵返しを受けた。体は回転していなかったものの、コレクトホールド(通称移動ポイント)を取られ、納得のいかない0−2。第2ピリオドはお互いにポイントがなく、ラストポイントで鶴巻が取った。

 第3ピリオドの防御もお互いにポイントがなく、最後の30秒の防御を耐え抜いた鶴巻の手が上がった。

【1回戦第1P】1ヶ月半ぶりの対戦、リベンジに燃える鶴巻(赤)。 【1回戦第3P】ラスト数秒、必死になってバック投げをこらえた。

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3回戦 ●[0−2(3-6,3-1,1-@L)] Peter Bacsi(ハンガリー)

 《経過》第1ピリオドのスタンドは0−0。グラウンドの防御となった鶴巻はバック投げを受けて3失点。場外に出たためスタンドで再開となり、一本背負いを決めて3点を返したが、すぐにバックを取られて4−3。ルールによって試合が続き、ローリングで回されて2点を失い、3−6とされた。第2ピリオドもスタンドで0−0のあと、グラウンドの防御を守って1−0。攻撃ではがぶり返しを決めて2点を加え、最後に押し出されたが3−1で勝った。

 第3ピリオドもスタンドで0−0のあと、グラウンドの攻防はお互いにポイントなし。ラストポイントを取った相手の手が上がった。

【3回戦第2P】相手の攻撃の崩れに乗った鶴巻(青)だが0点。 【3回戦第2P】がぶり返しでこのピリオドを取ったが、最後は力尽きた。

 【84kg級】松本慎吾(一宮運輸)    56選手出場

1回戦 ●[1−2(0-2,4-0,1-@L)] Saman Tahmasebi (イラン)

 《経過》第1ピリオドのスタンドは0−0。先にグラウンドで攻めて松本はポイントを取れず(0−1)。防御ではガッツレンチを受けてしまい0−2へ。第2ピリオドはスタンドの終盤でタックルを受けた松本が場外際でうまく回りこみ、相手を場外に出して1−0。グラウンドの攻撃中、相手が松本の脚にさわって防御し、警告で2ポイント獲得。最後の防御をしっかり守り、4−0とした。

 第3ピリオドはスタンドで0−0のあと、グラウンドの防御を守り切った松本。最後の30秒の攻撃で勝負をかけたが、俵返しが上がらなかった。

【1回戦第1P】松本(赤)は相手のガッツレンチを受けてしまう不覚。 【1回戦第3P】逆転をかけて狙った俵返しだが…。 【1回戦第3P】松本の向き合った相手は、松本に組ませず、守り切った。

 【96kg級】加藤賢三(自衛隊)    43選手出場

1回戦  BYE

2回戦 ○[フォール、1P1:14(F4-0)] IANG Huachen(中国)

 《経過》第1ピリオドのスタンドのラスト2秒、加藤が首投げを決め、そのままフォール勝ち。

【2回戦第1P】ファーストコンタクトから首投げで一気にフォールへ。

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3回戦 ○[2−1(1-3,3-2,2-1)] MEDUNA Roman(スロバキア)

 《経過》第1ピリオドのスタンドは0−0。グラウンドの攻撃権を取った加藤はポイントを取れず(0-1)。防御ではがぶり返しを受けてしまい、最後にバックを取ったが1−3。第2ピリオドのスタンドで開始15秒、加藤がバランスを崩して1点を取られ、ガッツレンチで回されて0−2。グラウンドの防御となった加藤は、相手のぶり返しをうまい身のこなしで体勢を入れ替えて1点を獲得。防御を守り切ったので1点を加え2−2へ。攻撃では相手に立たれてしまったものの、場外際で押し倒して1点を加え、3−2でこのピリオドを取った。

 第3ピリオドはスタンドで0−0。加藤の攻撃ではポイントなし(0−1)。防御に回った加藤は立ち上がり、相手におおいかぶさって1点を獲得。30秒を守り切った1点とともに2−1として勝った。

【3回戦第1P】がぶり返しを受けたあと、必死に逆襲する加藤(青)。 【3回戦第3P】グラウンドの防御から立った加藤は、相手を押し倒して決勝点。

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4回戦 ○[フォール、2P1:40(TF6-0=1:20,F4-0)] Yovani Lima(キューバ) 

 《経過》第1ピリオド、勢いあるタックルで場外へ出されそうになった加藤は首投げを決めて3点。58秒にも場外際まで押されたが、小手投げ気味に相手を場外に出して4−0へ。グラウンドの攻撃でガッツレンチを決めて6点差をつけた。

 第2ピリオドはスタンドのラスト5秒くらいで首投げを決め、そのままけさ固め。最後はしっかりとフォールを決めた。

【4回戦第1P】相手の突進をかわした加藤は、場外へ投げて1点を追加。 【4回戦第2P】初戦に続き、2度目の首投げからのけさ固め。 【4回戦第2P】フォールで勝って五輪出場資格を確保。ガッツポーズ!

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準決勝 ●[1−2(2-1,1-@L,0-2)] Mindaugas Ezerskis(リトアニア)

 
《経過》第1ピリオドのスタンドは0−0。攻撃でポイントを取れなかった加藤は(0−1)、防御で相手のがぶり返しをかわしてバックを取り、30秒耐えた1点とともに2−0として先制。第2ピリオドは0−0のあと、グラウンドでお互いにポイントを取れず、最後に守った相手が勝った。

 第3ピリオド、スタンドで0−0のあと、加藤のグラウンド攻撃は不発(0−1)。防御では、ラスト11秒にガッツレンチを決められて痛恨の1失点。決勝進出の望みが消えた。
【準決勝第1P】決勝進出を目指して闘った加藤(赤)。 【準決勝】ラスト11秒、加藤の決勝進出の夢が消えた。 【準決勝】あと11秒! 悔しい結果だったが、まだメダル獲得の望みがある。

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3位決定戦 ●[0−2(0-2,0-2)] Ghasem Rezaei(イラン)

 《経過》第1ピリオドのスタンドは0−0。グラウンドの攻撃権を得た加藤だが、ポイントは取れず(0−1)。防御ではローリングを決められ0−2へ。第2ピリオドは場外際でタックルを決められて1失点。グラウンドの防御でローリングを決められ、攻撃ではポイントを取れなかった。

【三決戦第2P】メダル獲得をかけてイラン選手と闘う加藤(青)。 【三決戦第2P】ガッツレンチを受けてしまい、後がなくなった。 【三決戦第2P】最後の勝負を挑んだが、無念のホイッスル。



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