【特集】狙っていたがぶり返し、通じず!…男子グレコローマン120kg級・新庄寛和(自衛隊)【2007年9月19日】







 前日の加藤賢三(96kg級=自衛隊)の五輪出場資格獲得の追い風に乗ってマットに上がった男子グレコローマン120kg級の新庄寛和(自衛隊)だったが、05年世界5位のミズガイティス(リトアニア)相手に第1・2ピリオドともコイントスで敗れたのが響き、白星を挙げることはできなかった。

 作戦はスタンドの闘いで押し負けず、前へ前へと出てスタミナを奪い、グラウンドで勝負すること。スタンドでの闘いは両ピリオドともポイントを失うことなく闘い、グラウンド勝負へ持ち込むまではうまくいったが、グラウンドでのがぶり返しはいずれも決まらなかった。

 「決め手に欠けた」。練習でやってきたとおりにはかからなかった。今年に入ってアジア選手権、キルギスの来日、イラクの来日と外国選手との手合わせを積んだものの、グレコローマンの本場の欧州の選手の強さはひと味違ったようだ。

 世界選手権は初出場。2005年と今年にアジア選手権に出場しているが、世界最高峰の闘いの舞台の空気は「違いますね」と言う。かつて経験したことのない緊張感にも襲われたようだが、「今後は、(グラウンドでは)立つ位置から鍛えなおす」と、今回の反省をもとにもう一度基本に立ち返ってやり直したいという。

 加藤が徹底したウェートトレーニングでパワーアップして結果を出しただけに、そのあたりに飛躍のかぎがあるかもしれない。だが、スタンド戦ではスタミナの切れた部分もあったので、単にパワーアップだけではなく、スタミナの養成も考えて鍛える必要がありそうだ。

 身近に屈辱を跳ね返して結果を出した選手がいるのは、心強いはず。「毎日が全日本チームの練習のようなもの」が、「毎日が五輪代表選手と練習」に変わる今後の新庄に期待したい。

(文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫)



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