【特集】世界V2相手に先制したが…男子フリースタイル55kg級・松永共広(ALSOK綜合警備保障)【2007年9月19日】







 初日の笹本睦(グレコローマン60kg級)の銀メダルに始まり、前日は加藤賢三(同96kg級)が5位に入賞健闘を見せ、明るい材料が続く男子。これまでに国際大会で金メダル6個をとり、日本男子陣の活躍に名を連ねることを期待されていたフリースタイル55kg級の松永共広(ALSOK綜合警備保障)だったが、初戦で03・05年世界王者(昨年はアジア大会専念のため不出場)、優勝候補筆頭のディルショド・マンスロフ(ウズベキスタン)と当たり、0−2(1-1,0-2)で黒星。敗者復活戦へ回れずに上位進出を逃した。

 初戦から大きな壁が立ちはだかった。前日の抽選でマンスロフとの初戦激突が決まり、「もうやるしかないと思って」試合に臨んだ。「タックルをとっていこう」と狙っていた松永は、3度目の対戦となるマンスロフからテークダウンをもぎ取って1点を先制する幸先いいスタートを切った。

 だがマンスロフは強かった。がつがつと攻めていく松永に対し、王者は動じず余裕すら見せる。松永の先制直後にタックルを決め1−1の同点へ。そのまま試合が終わり、ラストポイントによって松永が第1ピリオドを落とした。

 第2ピリオドに入ってもマンスロフの力はゆるまない。組み手を制して松永の自由を奪い追い詰めていき、攻撃を受けても間一髪かわす。場外際での松永の苦しまぎれのがぶり返しが崩れ、松永が2失点
(左写真)。マットを去った。
 
 マンスロフがこのまま勝ち続ければ松永に敗者復活戦のチャンスが訪れるはずだった。2回戦で昨年の世界王者を破り、その期待は大きかった。松永も「(マンスロフは)勝ち上がってくると思っていて、敗者復活戦に向けて休んでいた。マンスロフの試合は見ていなかった」という。

 しかし、松永の対戦の終盤から足をひきずっていたマンスロフは、準決勝のベシク・クドゥコフ(ロシア)戦になると痛々しいほどにまで脚を引きずっており、最後は戦意喪失。松永の敗者復活戦への道は閉ざされてしまった。

 試合とともに悔しい結末となったが、松永は「敗者復活戦は相手まかせじゃないですか。やっぱり自分で勝たなきゃいけないです」と、自力で勝ち上がることの大切さを認識。北京へ向けて「一からやり直しです」と再出発を誓った。

(文=藤田絢子、撮影=矢吹建夫)



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