【特集】自信と課題の両方を手にした…男子フリースタイル66kg級・鈴木崇之(警視庁)【2007年9月20日】







 日本の中でも激戦区のひとと言える男子フリースタイル66kg級。そこで日本代表権を勝ち取った鈴木崇之(警視庁)が初出場となる世界選手権に挑んだ。3回戦で、結果としてこの大会で優勝したラマザン・シャヒン(トルコ)に敗れたが、敗者復活戦のチャンスをつかむ。

 だが、「かみあわなかった」と言うように、今年のワールドカップ王者のアルスラン・クタリエフ(ウズベキスタン)に0―2(0-1,1-2)で敗れ、3位決定戦までの道が遠かった。鈴木は「もっと世界に出て、学ばなければいけないと思った」と振り返る。闘う相手のタイプ、そして海外での判定などすべてを指しているのだろう。

 シャヒンとの対戦では海外の洗礼を受けた。第1ピリオドを取られ、迎えた第2ピリオド。片足タックルで1点を奪われたものの、終盤反撃に出る。両足にがっちりと食い込むタックルでそのまま場外へ押し出した。日本でなら鈴木に1ポイントが与えられるケース。しかし、両者ともにひざがついていたと判断されたのか、電光掲示板のポイントは「0」のまま
(右写真=明らかに相手の右脚が出ているが…)

 本人も「僕の点だと思ったが、時間が少なかったから、気持ち切り替えて点を取りにいくしかないと思って」。残り時間は20秒強。こん身のタックルが終了間際にかかり、鈴木の勝利かと思われた。返されそうになったが、しっかりと押さえてはいた。しかし、ここでも判定はシャヒンに3点、鈴木に2点。納得のできない判定で3回戦敗退という現実をつきつけられた。

 鈴木は「もっとはっきりした形でポイントを取れば、ああいうふうにならなかった。はっきりした形で白黒つけなきゃ」と、審判のさじ加減で勝敗が変わることもある海外での闘い方を痛感したかのように振り返った。

 約1時間半後、「祈るような気持ちで待っていた」という鈴木に敗者復活戦のチャンスが舞い込んだ。相手はウズベキスタンのクライエフ。ところが、「かみあわなかった」そうで、0−2のストレート負け。「技の連続性がなく、単発、単発になって、1回切られては離れてしまう闘いになった」と、今後の課題を口にした。

 3回戦までは「自分が攻めて行けば通用する」と手ごたえを感じたが、敗者復活戦では「いろんなタイプの選手が世界にはいる」と痛感したという。世界で戦うことへの自信と課題の両方を手にした鈴木は、今後さらなる成長を見せていくに違いない。

(文=藤田絢子、撮影=矢吹建夫)



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