吉田沙保里(ALSOK綜合警備保障)と坂本日登美(自衛隊)が優勝…世界選手権第6日【2007年9月22日】







 北京オリンピックの出場資格をかけた2007年世界選手権第6日は9月22日、アゼルバイジャンの首都バクーのヘイダル・アリエフ・スポーツアリーナで女子3階級が行われ、55kg級の吉田沙保里(ALSOK綜合警備保障)と51kg級の坂本日登美(自衛隊)がともに3年連続の優勝を遂げた。吉田はアテネ五輪を含めて6年連続6度目の世界一で、日本協会の定めた五輪代表選考規定により、北京五輪の日本代表に内定した。連勝記録は「115」まで伸びた。坂本は2000・01年にも優勝しており、通算で5度目の優勝
(右写真=応援に駆けつけてくれた在留邦人)

 59kg級で3連覇を目指した正田絢子(ジャパンビバレッジ)は3回戦で昨年3位のナタリア・シニシン(ウクライナ)に敗れ、敗者復活戦へ回れなかった。

 吉田は1回戦から5試合に勝っての決勝進出。3回戦では今年のパンアメリカン選手権とパンアメリカン大会を制したジャッケルネ・レンテリア(コロンビア)に第1ピリオドを取られるなど苦戦を強いられたが逆転勝ちし、決勝へ進んだ。決勝は昨年3位のイダ・テレス・カールソン(スウェーデン)と対戦。第1ピリオドこそ慎重に試合を進めたものの、第2ピリオドは7−0のテクニカルフォール勝ち。快勝で6度目の世界一を決めた。

 坂本は準決勝までの3試合中2試合にフォール勝ちする強さを見せた。決勝は05年世界選手権48kg級優勝の任雪層(レン・シュセン=中国)相手に終始攻撃に徹し、2−0で勝った。

 正田は1回戦を2−0、2回戦をフォールで勝ち上がったものの、3回戦のシニシン戦で第3ピリオドのコイントスの末に敗れた。シニシンが準決勝で敗れたため、敗者復活戦へ回れなかった。

 各選手の成績は下記の通り。


 ◎女子

 【51kg級】坂本日登美(自衛隊)       18選手出場

1回戦  BYE

2回戦 ○[フォール、1P0:32(F4-0)] Maria del mar Serrano(スペイン)

 《経過》速攻で1点を挙げた坂本は、続けざまに正面タックルを決め、エビ固めにつなげて、そのままフォール。

【2回戦第1P】開始早々に坂本(赤)の正面タックルがさく裂。 【2回戦第1P】一気にエビ固めにつなげて幸先いいフォール勝ち。

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3回戦 ○[2−0(6-2,TF6-0=0:55)] Erica Sharp(カナダ)

 《経過》第1ピリオド開始直後に坂本が片足タックルで1点。中盤にもタックルにいったが、返されて2失点。しかし、すぐにバックを奪い返し、ニアフォールへ追い込んで6−2へ。第1ピリオドはタックルとグラウンド攻撃で一気に5−0。さらにテークダウンを奪って6−0とした。

【3回戦第1P】片足タックルで1点を先制した坂本(赤)。 【3回戦第2P】ニアフォールへ追い込み、5−0とリードを広げた。

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準決勝 ○[フォール、2P0:34(TF7-0=1:22,F4-0)] Tatyana Bakatyuk(カザフスタン)

 《経過》第1ピリオドの開始7秒に坂本が正面タックルで1点。40秒に3点タックルを決め、さらにタックルからニアフォールを奪って7−0へ。第2ピリオドも15秒で1点を取り、正面タックルから一気にフォールを決めた。

【準決勝第2P】正面タックルがさえ渡った坂本(青)。 【準決勝第2P】体を預けてフォール勝ちの坂本。

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決 勝 ○[2−0(3-0,2-0)] Ren Xueceng(中国)

 《経過》第1ピリオド開始6秒に坂本がタックルからバックへ回って1点を先取。44秒にも1点を加え、腕取りでフォールを狙ったが、これは不発。終了間際に1点を加えた。第2ピリオドも開始直後に正面タックルで1点を先取。43秒にも1点を加えて2−0とし、快勝した。

【決勝第1P】開始6秒、坂本(青)の速攻タックルが決まる。 【決勝第1P】相手の攻撃を受け止め、すぐに反撃に転じた。 【決勝第2P】このピリオドも開始すぐの速攻タックルが決まった。

【決勝第2P】危なげない内容で5度目の世界一を決め、ホッとした表情。。 【決勝第2P】その直後、両手で顔を覆って大粒の涙を流した。 【表彰式】世界選手権5度目の君が代。涙ボロボロで聞いた。

【表彰式】後方の観客席には在留邦人が日の丸を持って祝福。 【表彰式】決勝の相手は、奇しくも妹・真喜子のライバルだった選手だ。 【表彰式】最後はにっこりと笑顔。5個目の世界金メダルをを掲げた。

 【55kg級】吉田沙保里(ALSOK綜合警備保障)       38選手出場

1回戦 ○[2−0(3-0,TF6-0=1:12)] Jessica Bechtel(ドイツ)

 《経過》第1ピリオド、吉田は相手の右脚への片足タックルで26秒で1点を先制。中盤以降の2度テークダウンを奪って3−0へ。第2ピリオドは29秒に片足タックルからバックを取って1−0。さらにテークダウンを決め、横崩し、ガッツレンチと決めて6−0とした。

【1回戦第1P】1−0のあと、正面タックルで1点を追加した吉田(青)。 【1回戦第2P】バックへ回って2点目。このあと寝技で4点を加えた。

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2回戦 ○[フォール、2P0:36(4-0,F6-0)] Joica Silva(ブラジル)

 《経過》吉田が第1ピリオドの30秒に相手を場外に出して1点を先制。中盤にも正面タックルからニアフォールへ追い込み、5秒ルールの1点も加えて4−0へ。第2ピリオドは即効のタックルとニアフォールで3−0。そのままフォールまで持ち込んだ。

【2回戦第1P】正面タックルで3点を取った吉田(赤)。 【2回戦第2P】タックルのあと、全体重をかけてフォールへ持ち込んだ。

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3回戦 ○[2−1(2-3,2-1,3-0)] Jackellne Renteria(コロンビア)

 《経過》第1ピリオド40秒に吉田がタックルで1点を先取。しかし、続いてのスタンドの攻防で場外へ押し出されてしまって1−1.1分20秒、タックルへいったところをタックル返しを受けて2失点。すぐにバックを取り返したが2−3となり、そのままのスコアでこのピリオドを落とした。第2ピリオドは相手の左脚を取り、トルコ刈りでニアフォールへ追い込む。1分30秒にバックを取られたが、2−1のスコアで勝った。

 決勝の第3ピリオドは慎重になったのか技が出ず、1分40秒すぎまで0−0。コイントスは避けたいと思う吉田が正面タックルで貴重な1点を取り、ラスト7秒。同点を狙って突進する相手を返して勝負を決定づける2点を挙げて3−0とした。

【3回戦第1P】必殺の正面タックルを返され、吉田(青)が第1Pを落とした。 【3回戦第2P】片足タックルからフォールを狙う吉田。 【3回戦第3P】ラスト数秒、勝負を決定づける2点をゲット。

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4回戦 ○[2−0(@L-1,4-2)] Olga Smirnova(カザフスタン)

 《経過》第1ピリオド、タックルを受けてしまった吉田が1失点。1分20秒ごろ、タックルの相打ちに勝った吉田がバックを取って1−1へ。ラストポイントでこのピリオドを取った。第2ピリオドは35秒に片足タックルからニアフォールで2−0。1分12秒と1分43秒に1点ずつ取られて3−2とされたが、相手のレッグホールドの失敗で体勢を入れ替え、4−2とした。

【4回戦第1P】0−1の後半、タックルの相打ちに勝って吉田(青)が1点ゲット。 【4回戦第2P】片足タックルからニアフォールへ。2−0とした。

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準決勝 ○[2−0(1-0,TF6-0=0:42)] AlenaFilipova(ベラルーシ)

 《経過》第1ピリオド53秒、吉田が相手の右脚へのタックルを決めて1点。これを守った。第2ピリオドもタックルから一気にニアフォールへ持ち込み3−0。相手のタックルを回り込んで1点を加えたあと、ガッツレンチで6−0とした。

【準決勝第1P】開始50秒に片足タックルを仕掛けた吉田(青)。 【準決勝第2P】開始早々に片足タックルからのニアフォールで3−0へ。

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決 勝 ○[2−0(1-0,TF7-0=1:00)] Ida-Therese Karlsson(スウェーデン)

 《経過》第1ピリオド39秒、相手の左脚への片足タックルで1点を先取。このあと攻めあぐみ、場外際で危ない場面もあったが、1−0で勝利。第2ピリオドは16秒に1点を取り、45秒にもタックルをカウンターの正面タックルで返し、ニアフォールまえで持ち込んで4−0へ。さらに3点となる正面タックルを決め、7−0でテクニカルフォール勝ちした。

【決勝第1P】開始39秒、片足タックルから場外へ押し出す。 【決勝第1P】バランスを崩し、ヒヤリ! すぐに立て直した。 【決勝第2P】開始16秒に早くも1点。大きく優位に立つ。

【決勝第2P】最後が正面タックルで場外へ。3点のタックルを決めた。 【決勝第2P】観客席の一角に陣取った在留邦人に両手でV。 【決勝第2P】絶妙のコンビネーションを見せる栄和人監督と勝利の雄たけび。

【表彰式】贈呈者の日本協会の福田富昭会長が祝福。 【表彰式】五輪を含めれば6度目のシーン。いつまで続くか。 【表彰式】苦しかった末に獲得した金メダルに熱きキッス。

 【59kg級】正田絢子(ジャパンビバレッジ)       20選手出場

1回戦 ○[2−0(@L-1,1-0)] Leigh Jaynes(米国)

 《経過》第1ピリオド中盤、腕をからめてもつれた後、正田がバックを取られた(0−1)。終盤にも同じような体勢となったが、今度は正田が勝ち、1−1のラストポイントで勝った。第2ピリオドは1分40秒に片足タックルからバックへ回り込み、1−0とした。

【1回戦第1P】腕をからめてもつれた体勢は正田(赤)が勝って1−1へ。 【1回戦第2P】片足タックルで1点のあと、逃げる相手を離さなかった正田。

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2回戦 ○[フォール、2P1:26(2-0.F4-0)] Agata Pietrzyk(ポーランド)

 《経過》第1ピリオド、タックルを受けてしまった正田だが、レッグホールドで返して2点を獲得。2−0でこのピリオドを先取。第2ピリオドは44秒に回り込み、腕取り固めで押さえ込み、フォールを奪った。

【2回戦第1P】相手のタックルをレッグホールドで返した正田(青)。 【2回戦第2P】腕を取り、がっちりと押さえフォールした。

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3回戦 ●[1−2(1-0,0-1,2-0=2:12)] Nataliya Synyshyn(ウクライナ)

 《経過》第1ピリオドの1分40秒、正田がバックへ回りこんで1−0へ。第2ピリオドは18秒にバックを取られて0−1とされ、追いつくことができなかった。

 決勝の第3ピリオドは0−0で2分間が終了。コイントスで負けた正田は、タックル返しで応戦し、微妙な形となったが相手のテークダウンを優勢ととられて敗れた。

【3回戦第3P】クリンチの防御となった正田。必死にタックル返しを試みたが、相手に2点が上がった。


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