大誤審! FILA審判委員長は「100パーセント、ミステーク」と断言…浜口−ズラテバ戦【2007年9月23日】







 世界選手権の女子72kg級2回戦、浜口京子(ジャパンビバレッジ)−スタンカ・ズラテバ(ブルガリア)で、明らかな審判のミスジャッジがあった。

 問題の場面は浜口が第1ピリオドを取られたあとの第2ピリオド。0−0のまま試合が進んだ後、1分20秒すぎに試合が動いた。ズラテバに背後に回られた浜口
(写真1)。浜口の動きは静止しておらず、この段階でズラテバに1点が入ったかどうかは微妙だが、浜口は立ち上がって無双を切り、ズラテバの体を横転させ(写真2〜4)、ズラテバの肩は明らかにマットに向いた(写真4)

 その後、ズラテバもすぐに体勢を立て直し、浜口の横から攻めて背後へ回り込んだ
(写真5〜8)。この時、ズラテバがゴービハインド(背後に回る)を獲得したか、場外とするべきかはは不明。写真7では場外を取るべきように思われる。

(1) (2) (3) (4)

(5) (6) (7) (8)

 この一連の動きに対し、審判団の下したジャッジは、ズラテバの3点で浜口は0点。日本陣営の抗議にもかかわらず、審判団はビデオチェックもせずに、試合を再開させた。

 浜口の無双の前後にあるズラテバのゴービハインドが1ポイントになるかならないかは、議論の分かれるところ。1点と判断されてもやむをえないだろう。

 問題は浜口が無双を仕掛けたにもかかわらず、それがズラテバのポイントになっていること。確かに写真4では浜口の肩もマットに向いているが、攻撃を仕掛けた選手の肩がマットに向いても失点とはならないことは言うまでもない。

 こうした判断に迷う場合はチャーマンが試合を止め、マットサイドで撮影しているビデオで確認して判断を下すようにしている。しかし、マットチャーマンはレフェリーとジャッジを集めようともせずに試合続行。試合を管轄するモンゴルのコントローラーも何も言わず、試合が続行され、浜口がこのピリオドを1−3で落としてしまった。

 試合終了後、日本協会の福田富昭会長はビデオを要求し、そのビデオを国際レスリング連盟(FILA)のマリオ・サレトニグ審判委員長ほかに見せたところ
(右写真)、サレトニグ審判員長は「浜口のポイント。100パーセント、ミステーク」と断言。しかし、一度下された判定が変わることはないため、勝敗はどうしようもなかった。

 また、コントローラーになぜビデオチェックをしなかったかを問いただしたところ、「3審判が同意していたから」との答。判定に対して重大が疑義がある場合に出てくるのがコントローラーであり、自らの意思を何も持たないのではコントローラーの役目を果たしていない。最低でもビデオチェックをさせるべきだったケースだだろう。

 午後のセッションの前には、審判団が急きょ集められて緊急の審判クリニック。この試合のビデオを見せてポイントをつけさせたところ、問題のシーンは約80人の審判のほとんどが浜口の2−0と答えたという。誤審のないようにとのきつい通達がなされたというが、試合が終わってからでは後の祭りだった。



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