北京五輪へ向け、ALSOK綜合警備保障の4選手が必勝宣言【2007年11月3日】








 11月1日、静岡市のホテルセンチュリー静岡で「世界選手権大会2007レスリング・柔道ALSOK綜合警備保障選手祝勝会」が行われた。それに先だって行われた記者会見には、9月にアゼルバイジャンで行われた世界選手権でグレコローマン60kg級銀メダルを獲得した笹本睦と、世界選手権で金メダルを取った女子48kg級の伊調千春、同55kg級の吉田沙保里、同63kg級の伊調馨の3人が出席。

 同じくALSOK綜合警備保障に所属する、世界柔道選手権(9月・ブラジル)の無差別級金メダル、78kg超級銀メダルの塚田真希、78kg級銀メダルの中沢さえも出席したが、まだ北京オリンピック代表権を獲得していない彼女たちとは違って、既に代表に内定しているレスリングの4選手からは記者会見で喜びと余裕のコメントが聞かれると思われた。

 だが、全員が揃って厳しい表情で代表内定に満足することなく、さらに上を目指して練習に励むことを誓った
(右写真=左から柔道の塚田、中沢、レスリングの笹本、吉田、伊調千、伊調馨)


 北京オリンピックでは、1988年ソウル・オリンピックの小林孝至、佐藤満以来となる男子レスリングの金メダルが期待される日本のエース笹本が「アテネ・オリンピックの金メダリストに勝ったことはうれしいですが、代表内定をいただいたことは考えず、マイペースでがんばります。12月の全日本選手権では、勝つことにだけこだわらず、それまでに練習した技を積極的にしかけていきます。課題はまだまだグラウンド。決勝戦では持ち上げられてしまいました。もっと外国人選手と練習したいですが、海外へ修行に出るか、国内でみっちり練習するか。それについては、全日本選手権のあと、大橋(正教)監督や全日本のコーチと相談したいと思います」と口火を切ると、連勝街道を驀進する吉田が続いた。

 「世界選手権は1日6試合戦わなければならず、過酷な大会でした。内容的には危ない試合が多く、自分の中ではいい勉強になったと思います。世界合宿、全日本選手権、ワールドカップ、アジア選手権、クイーンズカップと大会が続きますが、出るからには必ず優勝して、連勝記録を伸ばします。北京オリンピックで必ず2連覇します」

 アテネで果たせなかった“姉妹金メダル”を誓う伊調姉妹も決意を語った。妹・馨は「安定した戦いぶりと言われますが、それほどラクな試合ではありませんでした。それでも、自分なりに納得できる戦いだったと思いますが、満足することなく、もう1年を切った北京オリンピックに向けてがんばります。誰が相手でも、どんな状況でも確実に1点を取るレスリングを身につけます」

 姉の千春は「世界チャンピオンになったことはもう過去のこと。女子レスリングはどこの国も一気にレベルが上がっているので、常に挑戦者の気持ちで練習していきます。外国人選手はこれまでパワーで攻めくるイメージでしたが、スピードもあるし、タックルにも入ってくるようになってきました。直接外国人選手と練習しないとダメだと思います」

 アテネ・オリンピック決勝で敗れた相手にリベンジを果たした千春は、さらに具体的に今後の取り組みを語った。「11月の世界合宿では、各国の選手とスパーリングもドンドンやりますが、どうしても勝ちに行ってしまって、いろいろなことが試せない。新しいことをやろうとして、もし万が一でも負けてしまったら、相手はその1回のスパーリングで自信を持ってしまいますから。スパーリングも大事ですけど、徹底的に研究するために外国人選手たちの練習やスパーリングをビデオに撮ろうと思っています。外国人選手は私たちの全てをビデオに撮って強くなってきたんですから。日本はこれまでそうしたことはあまりしませんでしたが、これからは必要になってくる。馨と二人、自分たちがスパーリングしないときはビデオを撮りまくって、組み手から足の位置、タックルのタイミングなど細かく研究します」

 会見後に開催された祝勝会では、ALSOK綜合警備保障関係者、地元のレスリング・柔道関係などおよそ400人が集まり、世界選手権で活躍した6選手を祝福。温かく応援してくれる大勢のファンの前で、選手たちは改めて北京オリンピックでの金メダル獲得を誓った。

(写真=宮崎俊哉)



《iモード=前ページへ戻る》

《前ページへ戻る》