【優勝選手特集】男子フリースタイル96kg級・小平清貴(警視庁)【2007年12月22日】








 男子フリースタイル96kg級は今年の世界選手権代表の小平清貴(警視庁)が決勝で磯川孝生(山口県協会)に競り勝ち、4連覇を達成した。

 小平にとってはハラハラの決勝だった。84s級からクラスを上げた磯川とは全日本選抜選手権決勝に続く対戦。大学時代から全日本合宿などでともに練習してきた間柄とあって手の内を知り尽くしているためか、第1ピリオドは互いに決め手を欠いてコイントスへ。攻撃権を得た小平が投げを決めて先制した。

 第2ピリオドは両者ともにピッチを上げたものの、やはりポイントは奪えない。コインはまたしても小平に有利に転がり、王者の4連覇は動かないと思われた。ところがここで磯川が踏ん張る。小平の攻撃をこらえ切ると、がぶり返しでポイントを獲得。磯川の上げた雄たけびが、第3ピリオド突入の合図となった。王者に焦りがなかったといえばウソだろう。ただし、小平には世界の舞台で培った大きなキャリアがあった。

 外国人選手と試合をすると、パワーとの差を痛感する日本人選手は多い。小平も海外で敗れるたびに筋力アップに力を入れてきた。こうした考え方に疑問を感じたのは今年の世界選手権が終わってからだ。「いくら筋力を鍛えても、パワーで勝負するのは難しい。それよりもスタミナで上回って相手を疲れさせる方がいいのではないか」。方針を転換した小平は、攻めて相手をバテさせるスタミナ重視の練習を続けたという。

 その成果が発揮されたのがこの日の第3ピリオドだった。相手を休ませずに攻め続けると、残り30秒を切って磯川は完全にガス欠状態。最後は疲れきった挑戦者を場外に突き出して勝負を決めた
(左写真=第3ピリオドの終盤に攻撃する小平)

 北京オリンピックをレスリング人生の集大成と位置づける小平は「来年のアジア選手権は、スタミナで海外の選手と勝負したい」とニュースタイルの継続を宣言。アジアではイラン、ウズベキスタン、キルギスタンが既に出場枠を獲得しているため、カザフスタンと韓国を最大のライバルに上げた。

(文=渋谷淳、撮影=矢吹建夫)



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