【優勝選手特集】男子グレコローマン66kg級・飯室雅規(自衛隊)【2007年12月22日】








 男子グレコローマン66kg級は、昨年のドーハ・アジア大会で銅メダルをとり波に乗る飯室雅規(自衛隊)が同じ自衛隊所属で今、成長株として注目を集める藤村義との同門対決を2−1で制し、男子で史上6人目の8連覇の称号をつかみとった。

 今回の全日本選手権は来年夏の北京オリンピックの選考がかかるアジア選手権の第一候補を決める大会。現在29歳の飯室にとって、北京五輪は自身が狙える最後のオリンピックとなる可能性が高い。北京への第一歩を踏み出すためにも負けるわけにはいかない。例年以上に強い思いで飯室は全日本選手権の試合に臨んだ。

 第1シードの飯室は2回戦から登場。初戦をピリオドスコア2−0で終えると、次戦も2−0で勝ち上がる。1−0で迎えた準決勝の第2ピリオドは、クロスボディロックからのグラウンド攻撃で同門の江藤紀友からフォール勝ち。1分21秒で試合を終え、王者は危なげなく決勝へと駒を進めた。

 決勝は2−1で勝ったものの、一瞬ひやりとさせる場面も見せた。飯室には今年の9月に行われた世界選手権でアディキャン(アルメニア)に俵返しを決められ初戦(2回戦)で敗退を喫した苦い思い出がある。そのワンシーンをほうふつとさせるような場面が、今回の決勝でも展開された。

 第1ポイントを先取し迎えた第2ピリオド。ここで藤村に見事ながぶり返しを決められ、マットにはってしまったのだ。その後の第3ピリオドはラストポイントを手堅く取って優勝を決めたものの、試合後の飯室は言葉少なで、「なんとか勝ててよかった」とホッとした表情だった
(右写真=決勝で藤村を攻める飯室)

 内容こそ満足のいくものではなかったかもしれないが、強い精神力をみせたことも確かだ。この日行われたその他の試合では、世界選手権に出場した選手がけっこう敗れていた。チャンピオンの座に輝いたのは、男子では飯室とフリースタイル96kg級の小平清貴(警視庁)と同120kg級の田中章仁(FEG)の3人。飯室はしっかりと存在感を示した。

 オリンピック出場のためにも、「次のアジア選手権で優勝するしかない」と決意を新たにする大会となった。

(文=藤田絢子、撮影=矢吹建夫)



《iモード=前ページへ戻る》

《前ページへ戻る》