【優勝選手特集】男子グレコローマン60kg級・笹本睦(ALSOK綜合警備保障)【2007年12月24日】








 男子グレコローマン60kg級の決勝戦で、今年の世界選手権銀メダリストの笹本睦(ALSOK綜合警備保障)がひやりとさせる場面を見せながらも、8年連続優勝を達成した。

 世界で結果を出したことでつかんだ自信を胸に臨んだ今大会。俵返しやローリングがさく裂し、無失点で決勝まで進み、その勢いからすると決勝でも圧倒的な強さを見せて、すんなりと優勝を決めるかと思われたが、難敵が待ちうけていた。昨年の全日本選手権、今年の全日本選抜選手権ともに2位で学生王者の松本隆太郎(日体大)に予想外の苦戦を強いられた。

 2回戦、準決勝とは明らかに様子が違う笹本の姿だった。グラウンドの攻撃で技をかけようとするが、決まらない。第1ピリオドをラスト・ポイントで辛うじて奪い、迎えた第2ピリオド。またしても技をかけることができない笹本とは対照的に、松本がローリングを決め、スコア3−0で勝ってタイスコアへもつれた。

 決着は、笹本にとってこの日初めてとなる第3ピリオドへと持ち越された。スタンドの1分間は探りあいが続き、試合はグラウンド勝負へ。コイントスの結果、運を味方につけた笹本のクロスボディロックでスタート。ここでも攻め切れなかった。

 それでも最後の30秒の防御を、今度はしっかり守り切ってラストポイントで勝利。優勝がきまると小さくガッツポーズを作り安堵の表情を浮かべた
(右写真=松本の猛攻にやや苦しんだ笹本だが、最後は優勝)

 「ちょっとどころか、だいぶ苦戦した」と試合を振り返った笹本。世界選手権銀メダリストは前日の計量を通過したことですでに北京五輪の代表には決定していた。だが、ローリングを決められてしまうなど弱さも露呈。「決勝であんな試合をしてしまったので、まだまだ自分でやらないといけないことがある。今後の合宿などでつめていきたい」と気持ちをひきしめた。

(文=藤田絢子、撮影=矢吹建築)



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