【優勝選手特集】女子55kg級・吉田沙保里(ALSOK綜合警備保障)【2007年12月24日】








 国内外で115連勝の記録を持ってこの大会に挑んだ女子55kg級の吉田沙保里(ALSOK綜合警備保障)。その快進撃はこの日も止まらず、快勝続きで6年連続優勝を達成した。天皇杯には手が届かなかったが、最優秀選手賞を手にした。

 アテネ五輪を含めて6年連続世界一の吉田にとって、国内大会での「優勝は当たり前」のこと。連勝を「118」まで伸ばすと、バック転を見せる大サービスで観客の声援に応えた。「118連勝」は、中京女大時代の恩師の栄和人監督が高校1年生から大学1年生までにマークした「116連勝」を上回った。

 「北京五輪で金メダルをとるためには、どんどん攻めていかないと勝てない」。世界女王だからといって、国内試合で手をゆるめることは絶対にしない。2回戦を58秒、準決勝では29秒でフォールを奪い、決勝進出を果たした。

 松川知華子(ジャパンビバレッジ)との決勝では、開始5秒で場外に押し出し1点を奪うと、その後も攻めの姿勢で得点を重ね、第1ピリオドを6−0で圧勝。第2ピリオドでも場外への押し出しや、ローリング、そしてニアフォールで計8点をあげ、相手に1点も与えることなくテクニカルフォールで優勝を決めた
(右写真=終始攻めて優勝を決めた吉田)

 無失点での試合は決勝だけのことではなく、今大会ですべての試合を無失点で、しかも危ないシーンはまったくなく終えている。ここに吉田の特訓の成果をうかがうことができる。今年の9月の世界選手権で、コロンビアのレンテリアと対戦し、危うく負けそうになった。「下半身の弱さ」に気づかされた吉田はすぐさま下半身強化に着手。スクワットの回数を以前よりも増やし、うさぎ跳びなどを行った。

 スパーリングのあとに足を痛めつけることで、「もうダメだってくらい追い込んだ」という。今回の無失点を「相手に攻めさせなかった」と評価し、「自信になり、北京につながった」と満足げな表情を見せた。

 圧倒的な強さで今年最後の試合を締めくくった吉田は、今後の抱負を聞かれると「来年は北京五輪の年。無敗を続けて2連覇したいと思います」と力強く答えた。下半身の強さを手にいれ、さらにパワーアップし、一点のかげりもみえない。北京に向けての視界はいたって良好だ。

(文=藤田絢子、撮影=矢吹建夫)


 栄和人監督の話(自身の連勝記録を破られたことについて)「こちらは同じ高校生を相手にしてマークした記録。沙保里のは、世界選手権やオリンピックを含めての記録。3倍、4倍の価値があるよ。悔しくも何ともない。最近やったゴルフで負けたことが、悔しくてね…」



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