【優勝選手特集】男子フリースタイル60kg級・高塚紀行(日大)【2007年12月24日】








 最大の激戦階級と言われた男子フリースタイル60kg級は、2006年世界選手権銅メダリストの高塚紀行(日大)が制した。

 湯元健一(23歳)、高塚紀行(22歳)、大沢茂樹(21歳)。この三者はここ数年、見事といえるほどにしのぎを削り合ってきた。安定感があり、抜けている存在は? と問われたら、2007年世界選手権代表の湯元といえるだろう。

 その湯元が比較的組み合わせに恵まれたのに対し、高塚と大沢が3回戦でぶつかることとなった。05年から始まった両者の対決は、これまで高塚の5勝4敗。この戦績が物語るように二人の対決は、まさに“目が離せない”一戦ばかり。今回の勝負は、第1ピリオドを落とした高塚が、第2・3ピリオドを取り返して準決勝進出を決めた。

 高塚にとって、3回戦で大沢に勝っても、準決勝で顔を合わせた今年のアジア選手権で銀メダルを獲得している実力者、大館信也(自衛隊)との一戦は、さらに気が抜けない相手である。だが、高塚にも06年世界選手権3位としてのプライドがある。先制されても焦らず、勝機をうかがった。3回戦に続いて第1ピリオドを落としても、第2ピリオドで押し出し、第3ピリオドはタックルを決めて決勝進出を決めた。

 一方の湯元は準決勝でアテネ五輪銅メダリストの井上謙二(自衛隊)に苦戦を強いられたものの、万全の状態で決勝を迎えた。過去の対戦成績は湯元が7勝3敗とリードしている。しかし、接戦をモノにしてきた高塚に勢いが傾いているのか、高塚が前に前に出て、場外へ押し出してポイント先取。「11月から徹底的に自分のスタイルを貫き通す練習を繰り返してきた」と試合後に話した高塚。そのスタイルとは前に前に出て、相手に何もさせない試合だ。

 「決してコンディションは良くなかった」という高塚だが、決勝戦が最も動きが良かったといえる。第1ピリオドは序盤のポイントを守りきり、第2ピリオドは延長を制した。接戦が続いて、どの試合がシンドかったとかはない。激戦続きの優勝だった
(左写真:湯元健一との激戦を制した高塚=青)

 そして、「アジア選手権は自分が権利を獲得し、自分が北京に行きます」とキッパリと言い切った。

(文=三次敏之、撮影=矢吹建夫)



《iモード=前ページへ戻る》

《前ページへ戻る》