【優勝選手特集】女子72kg級・浜口京子(ジャパンビバレッジ)【2007年12月24日】








 男子ではグレコローマン90kg級で活躍した森山泰年が1982〜1995年に「14年連続優勝」という偉業を達成している全日本選手権。今年は浜口京子が女子72kg級で優勝し、70kg級・75kg時代と合わせて12連覇を達成し、偉業に近づいた。

 その瞬間、父・アニマル浜口氏は思わずマットに上がり、娘を肩車した
(右写真=父に肩車されてインタビューを受ける浜口)。会場も大興奮である。「(1999年に)世界選手権で優勝して3連覇した時以来の」(アニマル浜口氏)父から娘へのご褒美である。「連覇の数とかは気にしていない」というが、この大会に出場し始めた時から勝つことだけを考えてきたというのだから、前人未到の偉業も心の片隅に置いているに違いない。

 だが、今は北京五輪のことしか頭にない。だから、そのような謙虚な発言になっているのだろう。そんな浜口の2007年は世界選手権でメダルを逸してしまうなど、どん底といってもいい状態を味わった。北京五輪へ向けて、「自信がなくなったのも確かです」と語ったように、本人だけではなく、周囲にも不安が広がったのは間違いない。

 だが、浜口は気持ちを切り替えると、全日本選手権で勝つことに全神経を注いだ。ここ数年、全日本レベルの大会となると、相手も限られるようになってきていたが、今年は59kg級などで世界一に3度なっている正田絢子(網野ク)が3階級アップして参戦してくるだけに、正田にも期待が集まった。

 だが、初戦の準決勝同様、決勝でも横綱相撲といえる危なげない試合内容で正田を返り討ちにした。正田が決勝に進出した時点で接戦を期待する声もあったようだが、浜口にはこの階級を守ってきた誇りがある。正田のタックルにはすべて即座に反応し、つぶすことができた。差し手争いや崩しも、もちろん浜口に分があった。

 ポイント差は1−0、1−0と開かなかったものの、圧勝での12連覇達成だった。「いろいろあった年でしたが、天皇杯で勝つことができたので、うれしいです。レスリングが大好きです」とも笑顔で語った。

 悪夢だったアテネ五輪の銅色のメダルを北京で金色に変えるために、「大きな一歩が踏み出せた」と言う浜口。「数えきれない方々の励ましの言葉をいただきました。そのためにも、とにかくどん欲に練習を積み重ねてきました」。オリンピック・イヤーの2008年、浜口が突っ走る!

(文=三次敏之、撮影=矢吹建夫)



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