女子の世界合宿がJISSでスタート





 世界の13か国が参加して行われる女子の世界合宿が1月5日、東京・国立スポーツ科学センターでスタート。当初から6日に来日する予定だった国や、ビザの関係で来日が遅れた国もあり、すべてがそろわなかったが、日本からの約25選手を含め、約60選手が汗を流した。

 午後4時の合宿スタートのあいさつには、日本協会の福田富昭会長のほか、6日から9日まで予定されている女子のコーチ・クリニックにために来日した国際レスリング連盟(FILA)のマリオ・サレトニグ副会長(米国)らも出席。「世界のレスリングの発展につながる合宿となることを望みます」とあいさつした。

 練習は日本の栄和人・女子ヘッドコーチ(中京女大職)、金浜良コーチ(ジャパンビバレッジ)、藤川健治コーチ(自衛隊)の指揮のもとで行われ、この日は初日ということで約1時間半。ウォーミングアップ、打ち込みのあと、2分×3ピリオドのスパーリングを約1時間続けたが、一部の国の選手は途中でダウンし、マットの隅に座り込んだまま戦闘不能状態へ。最後の綱昇りや懸垂(けんすい)をやろうともせず、初日から日本のハード練習に目を白黒させた。

 欧州からの移動と時差ぼけによる疲れを差し引いて考えねばならないが、日本の高校生選手でも平然としている程度の練習に、他国選手はついていくのがやっとという状況で、あらためて日本の練習の量と質の高さが感じられた世界合宿初日だった。

 栄ヘッドコーチは「まだロシアとか全選手が集まっておらず、きょうは軽めで終えた。総合的には日本選手の方が上回っている。外国選手はパワーで押しつぶすレスリングできている。日本選手はそれに対抗できる技術を習得してほしいが、かわすだけではダメ。いつまでもかわし切れるものではない。パワーをうまく利用して技をかけることを学んでほしい」と言う。

 外国選手の一部が練習に最後までついてこられないことについては、「そりゃあ、日本の練習の質と量は世界一だからね」と胸を張る。「試合のマットで相対した時には、相手が日本選手というだけで震え上がらせるようにしたい」と、日本式ハードトレーニングで音(ね)を上げさせる腹積もりだ。

 金浜良コーチは「中国(注:72kg級のワン・チアオは右肩負傷のため来日せず)がやはり強い。でも、まだ粗(あら)い面が多い。やっつけるチャンスはたくさんある。こちらが中国選手を警戒している以上に、中国選手は日本を恐れている。ここでしっかり練習しておけば、試合での怖さがなくなる。日本の2、3番手選手も中国に対してそうした気持ちを持ってほしい。日本が世界で勝つためにやる合宿です」と、まずは日本の強化を念頭において指揮していくという。

 合宿での主将に指名された伊調馨選手(中京女大)は「主将という役目に緊張しています」と、どんな場面でも物おじしない選手らしからぬコメント。「すぐにバテるのは外国選手の特徴。第2、3ピリオドは日本選手が勝つことが多いけど、第1ピリオドの爆発力は気を抜けません。それに注意して臨みたい」と警戒していた。



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