稲葉泰弘(専大)が銅メダル獲得…ウズベキスタン・カップ第1日【2006年3月12日】






 遠征中の男子フリースタイルの全日本チームは3月11日、ウズベキスタン・タシュケントで、15か国が参加して行われた「ウズベキスタン・カップ」に出場。初日は55kg級、66kg級などが行われ、55kg級の稲葉泰弘(専大)が敗者復活戦を勝ち上がり、田岡秀規(自衛隊)との3位決定戦に勝って銅メダルへ。賞金1500ドル(約17万7000円)を獲得した。(右写真

 稲葉は初戦で世界チャンピオンのディルショド・マンスロフ(ウズベキスタン)に敗れたものの、敗者復活戦を勝ち3位決定戦へ進み、田岡を破った。

 田岡は1、2回戦を東欧選手相手に勝ち抜き、準決勝でマンスロフに第2ピリオドを取る善戦の末に惜敗。3位決定戦へ進んだものの、稲葉に敗れた。しかしマンスロフから見事な飛行機投げで3ポイントを奪うなど、世界チャンピオンと互角近くに闘う実力を見せ、今後につなげる内容を残した。

 66kg級の藤本浩平(拓大)は、初戦黒星のあと、敗者復活戦でも敗れ、上位進出ならなかった。55kg級の松永共広(ALSOK綜合警備保障)は、右ひざ負傷のため、当初の予定どおりこの大会を欠場。遠征後半の「ダン・コロフ国際大会」に出場する予定。

 各選手の成績は下記の通り。(注:当初の大会要項では、3位の賞金3000ドルで、8位まで賞金が出ることになっていましたが、その後、1月のヤリギン国際大会に合わせたいとの意向で、賞金は3位までで、3位の賞金は1500ドルとなったとのことです)


 【55kg級】田岡秀規(自衛隊)    5位=15選手出場

1回戦 ○[2−0(1-0,1-0=2:04)] Besarion Gochashvili(グルジア)

 《1P》田岡が1分すぎ、相手の左足首へのタックルを決めて1点を先制。終盤の相手の胴タックルをこらえて振り切った。

 《2P》2分間を0−0で終了。コイントスで勝った田岡は、場外へ押し出し、決勝の1点を取った。

2回戦 ○[2−0(3-0,5-0)] Vagan Simonyan(アルメニア)

 《1P》一進一退のあと、田岡が見事な右足払いで相手を背中からマットに落として3点を獲得。そのままのスコアでこのピリオドを先制。

 《2P》田岡は中盤、きれいな飛行機投げ。レフェリーは5点を挙げたが、判定は3点。終盤、相手のがぶりをこらえて押さえ込み、2点を加えた。

準決勝 ●[1−2(0-1,6-2,0-2)] Dilshod Mansurov(ウズベキスタン)

 《1P》一進一退の攻防の末、0−0でピリオドが終わったが、終盤の田岡のファイトが消極的とみなされ、警告で1失点。地元びいき判定としか思えないジャッジだった。

 《2P》田岡が強烈なタックルを仕掛けてテークダウンを取り、1点を選手。焦ったマンスロフにきれいな飛行機投げを決めて4−0とした。マンスロフのがぶり返しをこらえて押さえこみ、田岡が2点を取ったが、最後は返されて2失点。それでも6−2のスコアで田岡がピリオドスコア1−1とした。

 《3P》1点をめぐる攻防は、1分30秒ころ、スタンドで田岡の背後へ回りテークダウンを決めて1点。田岡はラスト10秒、逆転をかけて一本背負いを仕掛けたが失敗し、0−2で敗れた。

3位決定戦 ●[0−2(0-3,0-1)] 稲葉泰弘(専大)

 《1P》田岡がタックルで攻め、受けた稲葉が粘りレッグホールドで返して自分のポイントへ。3−0.終了間際に田岡が粘ったが、タイムアップが先で稲葉が先行。

 《2P》1点をめぐる攻防は、1分20秒、稲葉が正面からのタックルで1点を取り、これが決勝点となった。


 【55kg級】稲葉泰弘(専大)    3位=15選手出場

1回戦 ●[0−2(0-1,2-6)] Dilshod Mansurov(ウズベキスタン)

 《1P》マンスロフの攻撃をよくしのいだ稲葉だが、攻撃も決定力を欠き0−0のまま。ラスト10秒、もつれて、あと一歩でポイントが取れそうなところからマンスロフの反撃を受け、痛恨の1点を失った。

 《2P》中盤、落とされて1点を失った稲葉は、横崩しを受けて0−3へ。マンスロフはヘッドスプリングのように回転して稲葉を投げて3点。稲葉は体重を浴びせて2点を返したが、2−6でピリオドが終了した。

敗者復活戦 ○[2−0(@Last-1,2-1)] Namik Sevdimov(アゼルバイジャン)

 《1P》稲葉が序盤、タックルを受けて場外に出されて1点を失った。しかしラスト30秒、正面からタックルを決めて1−1へ。終了間際、しつこいタックルを受けたものの、辛うじてこらえ、ラストポイントでこのピリオドを取った。

 《2P》稲葉が開始早々に正面タックルを決めて1−0。グラウンドは決まらない。ラスト40秒にも足首をすくうタックルで1点を加えた。終盤、しつこく攻撃されて1点をやってしまったものの、2−1のスコアでこのピリオドも取った。

3位決定戦 ○[2−0(3-0,1-0)] 田岡秀規(自衛隊)

 ※田岡の項目参照


 【66kg級】藤本浩平(拓大)     18選手出場

1回戦 ●[0−2(0-1,0-3)] Chris Bono(米国)

 《1P》一進一退のあと、1分20秒、藤本は右脚を取られて1点を失い、0−1でこのピリオドを落とした。

 《2P》藤本は2度、片足を取られてテークダウンを許した。終盤、逆転を狙って反撃したが、うまくかわされて逆に1点を失い、0−3とされた。

敗者復活戦 ●[1−2(5-3,0-1=0:05,0-1)] David Nozadze(グルジア)

 《1P》藤本が片足タックルと相手の投げの失敗に乗じて2−0。グラウンド攻撃はもつれるなどしたが、ローリングを決めるなどして4−3へ。最後にもタックルを決め、5−3とした。

 《2P》お互いに決め手がなく0−0。コイントスで負けた藤本は、素早く切ろうとしたが、逃げ切れずテークダウンを許した。

 《3P》1点をめぐる攻防は、1分15秒、相手の正面タックルで藤本が痛恨の1失点。第2、3ピリオドを落として3位決定戦進出を逃した。



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