【特集】ウズベキスタン・カップ出場選手の声【2006年3月14日】




旧ソ連5選手と闘って5位…66kg級・高塚紀行

 組み合わせの関係で予備戦からスタート。「優勝まで5試合か〜」と思ったという66kg級の高塚紀行(日大)は、優勝ではなかったが5試合を闘い、3勝2敗の成績で5位に入賞した。2試合目のダビッド・ポゴシャン(グルジア)はアテネ五輪5位の選手。強豪ということを知っており、「ここが最初のヤマ」と燃えたという。「いつもの試合よりは動きができた」そうだ。

 ただ、3試合目のラムザン・サリトフ(ロシア)戦や3位決定戦のムラド・ラマザノフ(マケドニア=ロシアからの移住者で昨年の欧州3位、
左写真)戦は「自分の動きは悪くなかったが、相手の実力が一枚も二枚も上手だった」と脱帽。「今回3位までに入った4選手には、現在の自分の力ではどうやっても勝てない差があります」と、世界における自らの位置を正直に表わした。

 試合前の名前負けはなかったという。しかし、強い選手は最初に組んだ時に分かるそうで、それを感じた時、ちょっぴり気後れした部分が出たようだ。

 ただ、このままの実力差でいるつもりはない。「ここからどう伸ばすかは、これからの練習次第です。強くなりたい」と話し、より多くの選手との練習や試合で実力を伸ばしていきたいという。2月のデーブ・シュルツ国際大会(米国)では米国選手相手に4試合をこなし(5位)、今回は旧ソ連の選手と5試合。「いい経験ができていると思います」と振り返った。

 次の遠征地のブルガリアでは東欧の選手との対戦が予定され、さらに闘いの幅を広げる経験を積めそう。国内の壁でもある全日本チャンピオンの湯元健一にも負けたくない気持ちは強く、「ブルガリアでの試合でも、負けたくありません。湯元さんより大きな収穫を得て日本へ帰ります」ときっぱり宣言した。


思い切りが足りなかった攻撃に後悔…60kg級・湯元健一

 「何もできずに終わりました」。60kg級全日本王者の湯元健一(日体大)は初戦敗退の悔しさのあまり、言葉がなかなか出てこない。第1ピリオドを落としたあとの第2ピリオドは、終了間際に1点を取ったはずだったのに、地元びいき判定と思えるジャッジで認められず、クリンチ勝負へ。コイントスで負けた末に1点を取られてしまうという納得のできない形だったが、「それは仕方ない」と言う。

 悔しさは判定ではなく、攻撃できなかった自分自身の不甲斐なさ。なぜか攻撃をちゅうちょしてしまったようだ。55kg級全日本2位の稲葉泰弘と3位の田岡秀規が世界チャンピオンと善戦して上位に入り、直接のライバルでもある60kg級全日本2位の高塚紀行も自分を上回っただけに、よけい悔しさがつのっている。

 「ブルガリアでの大会では、こんなことのないようにしたい」−。巻き返しを期待したい。


気持ちでは負けなかったが、思い切りが必要…66kg級・藤本浩平

 ○…初の全日本遠征参加となった66kg級の藤本浩平(拓大)は、初戦で敗れ、敗者復活戦へ回る幸運も生かせず、2連敗で終わった。1試合目は「強い相手(クリス・ボノ=米国)で、前へ押してくるプレッシャーが強かった。対抗しようとしたら、横に崩されたりした。プレッシャーの強さは知っていたのですが…」と振り返る。

 2試合目は「勝てた相手だった。取りにいくべきところを、怖さがあっていけなかった。お見合いしてしまった」と悔やしそう。組み手は有利に運んでいたそうだが、巻き投げを受けてから自分の組み手ができなくなってしまったという。

 「精神的な部分をもっと鍛えたい。気持ちで負けていたわけではないが、取りにいくところで思い切りを身につけたい。もう少し頭を使ったレスリングをしたい」と、次の大会出場に気持ちを向けていた。


まだ鍛えなければならない…74kg級・小幡邦彦

 ○…全日本の常連、74kg級の小幡邦彦(ALSOK綜合警備保障)は初戦で2ピリオドともテクニカルフォールで落とす完敗。敗者復活戦に回れず不本意な成績に終わった。「調子は悪くなかった。初めて闘うタイプで、かみあわないうちにボロボロとやられてしまった」と反省。第1ピリオドをテクニカルフォールで落としたあと、「気持ちは切り替わったはずなのですが…」と唇をかんだ。

 6年間も全日本チームに居座っている選手をしても、初めて闘うタイプの選手がいるのだから、世界の広さを感じさせる。「もっと多くの選手と練習や試合をやり、いろんなパターンを覚えたい。まだ鍛えなければならない」と話し、遠征最後の「ダン・コロフ大会」では「自分のすべてを出してばん回したい」と気合を入れた。


多くの選手と肌を合わせ、世界に追いつきたい…74kg級・長島和幸

 ○…小幡邦彦の初戦黒星を見てマットに上がった同じ74kg級の長島和幸(クリナップ)も、相手の攻撃をしのぐのが精いっぱいで、無念の初戦黒星。1試合しかこなすことができなかった。「初めて全日本の遠征に参加させてもらったわけですが、74kg級より上の階級は世界と日本との差が大きいと思いました」という感想を持ったという。

 闘ったウズベキスタン選手は、日本にはいないタイプの選手で「どうやって闘っていけばいいのか、分からず、試合中にパニック状態になってしまった」と、自分の形を出せなかったと振り返った。

 しかしオリンピックまで2年しかない。「このままではダメ。追いつくように頑張りたい。多くの選手と肌を合わせたい」と、今後の強化の指針は定まっている。ブルガリアでの地元選手ほかとの合宿では、練習のみならず練習試合も多く組まれる予定。「しっかりと勉強したいです」と締めた。




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