【特集】負傷で出場辞退も考えた苦境での栄冠…59kg級・正田絢子【2006年3月29日】






 激戦が予想された59kg級では、正田絢子(ジャパンビバレッジ)が山本聖子(ジャパンビバレッジ)との熱戦を制した。全日本選手権決勝で敗れたの借りを返し、世界選手権の出場権争いを6月のプレーオフに持ち込んだ。

 2人とも苦しみながら決勝に勝ち上がった。山本は初戦で試合開始時間になっても会場に現れず、あわや失格負けというスタート。準決勝も63kg級で世界ジュニア・チャンピオンに輝いた西牧未央(愛知・至学館高)に苦しめられた。

 正田も緊張感のあふれる戦いを強いられた。初戦は昨年の59kg級世界ジュニア・チャンピオン、山名慧(中京女大)と接戦を展開。準決勝では全日本選手権で5度の優勝経験がある岩間怜那(ALSOK綜合警備保障)の追い上げに苦しんだ。

 迎えた両者の決勝は、こう着状態の続く息詰まる攻防となった。第1ピリオドは両者スコアレスのままコイントスへ。クリンチの権利をつかんだ山本が投げ技を決めてピリオドを奪った。

 第2ピリオドに入ると正田はパワフルに前に出た。山本を場外に押し出し、このピリオドを獲得。最終ピリオドでも生きたのはやはり正田のパワーだった。またもや場外への押し出しで先制。結局、このポイントが大きくものをいって勝利を獲得した。

 正田は昨年の全日本選手権で左ヒザのじん帯を損傷。1月いっぱいをリハビリに費やした。一時はクイーンズカップ辞退も考えたという正田は「出場しないと悔いが残ると思って出た。プレーオフでもう1度勝って世界2連覇を目指したい」と会心の笑顔を見せた。

(文=渋谷淳)


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