【特集】前年王者・拓大の新たなチーム作りと挑戦…東日本学生リーグ戦展望(1)【2006年4月25日】





 「だれかが120%(力を)出しても、ほかの選手が50%なら駄目。全員が100%出さないと」。東日本学生リーグ戦(5月11・12日、東京・駒沢体育館)で2年連続3度目の優勝を狙う拓大の磯川孝生主将
(下写真)は、冷静に語り始めた。昨年、同リーグ戦で3年ぶりの優勝を果たした拓大は、意外にもマイペースだ。「ボクらはボクららしくやる。チームの目標は、全員が自分のレスリングを100%出すこと」と、結果より内容というスタイルで構えている。

 「連覇」という言葉は意識していない。「今年のチームは昨年と全く違うと思っている」と話す磯川主将は、「みんなで考えるチーム」を目指し、1ランク上へいくためのチーム作りを進めている。今はミーティングの時間を増やし、年上年下関係なく思ったこと、やりたいことを言える環境を整えている最中。この方向性も、8人いる4年生みんなで決めたことだという。

 「チームの中で一人ひとりの役割がはっきりしている。それを果たすために一人だけが頑張るのではなく、みんなでサポートする」。その傾向は練習にもはっきり表れている。自分の持っているものをみんなに教え、高め合う。さらに、それを理解し習得するまでとことん練習する。

 緊張感も並ではない。「競争意識の高さはどこの大学にも負けない。自分たちの練習は間違っていない」と磯川主将の声には自信がみなぎる。指導する西口茂樹コーチも「(拓大コーチに就任して)今年で13年目になるが、今までで一番強いチーム」と絶賛。チームに誇りを感じているのは、選手だけではない。

 一方で、「今は戦国時代」(西口コーチ)、「弱いチームはない」(磯川主将)と現実の厳しさも見据えている。新しいチームになった今、拓大は「挑戦者」として臨む姿勢も忘れていない。磯川主将がこだわる「ボクらはボクららしく」という“拓大らしさ”を100%出せた時、拓大が戦国リーグで台風の目になることは間違いないだろう。

(取材・文=神谷衣香)



◎本HPが予想するメンバー

監 督 秋本 公太郎  
階 級 選手名 学年 主 な 成 績 出身高校
55kg級 湯元 進一 4年 05年全日本学生選手権3位 和歌山・和歌山工
60kg級 内田 達治 4年   長野・上田西
66kg級 藤本 浩平 3年 05年全日本選手権2位 静岡・飛龍
74kg級 桜井 浩二 4年 05年全日本学生選手権2位 長野・上田西
84kg級 磯川 孝生 4年 05年アジア選手権2位 大分・日本文理大付
96kg級 山口 竜志 4年 05年全日本学生グレコ優勝 鳥取・倉吉工
120kg級 中村 淳志 3年 05年全日本大学選手権優勝 奈良・広陵


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