【特集】若手を起用しながらも3年連続世界一【2006年5月21日】






 日本が3年連続で団体世界一を勝ち取った。栄和人監督にとっては、女子ヘッドコーチに就任して以来、昨年の6−1(米国)、7−0(ロシア)、6−1(ウクライナ)に続き、オール6−1(米国、ウクライナ、カナダ)という圧勝続きの優勝。「他国のレベルアップは感じる」(伊調千春主将)という声もあるものの、結果だけからすればまだ他国の追従を許していない現状を見せつけた。

 同監督も、中国をはじめ米国やカナダの成長は感じるそうだが、「総合力では日本が世界一」との気持ちが強く、予定どおりの結果に満足そう。これまでワールドカップには出場したことのない甲斐友梨(51kg級)、西牧未央(59kg級)、新海真美(67kg級)、井上佳子(67kg級)という若い選手を起用し、井上が世界3位の選手と善戦するなど、将来につながる収穫もあり、栄監督の表情も明るい。

 気がかりだったこともあった。4月に左足を骨折し、出場を棒に振った67kg級の坂本襟(ワァークスジャパン)の気持ちだ。「本人は辛い気持ちだったと思う。取り残されたような気持ちにならなければいいが…」。しかし、会場で会って声をかけると、「すがすがしい顔をしていてホッとした」そうで、「けがを治して全日本チームに戻ってきてほしい。全日本チームの貴重な戦力です」と思いやった。こうした細かな心遣いが、選手の気持ちをつかみ、最強チームを引っ張っていける要因なのだろう。

 もちろん、カナダ戦で黒星を喫した72kg級の浜口京子(ジャパンビバレッジ)への気遣いも忘れない。「力と体力は十分にある。柔軟性のある攻撃を身につけさせ、北京オリンピックで必ず金メダルを取らせたい」とエールを送った。9月までの栄監督の手腕に期待したい。

 浜口平吾団長(浜口ジム)は「チームジャパン、一生懸命にやって優勝を成し遂げることができた。王ジャパン(3月のWBC)に続いて、レスリング・ジャパンが勝った。次はサッカーのワールドカップ。ジーコ・ジャパンに間違いなくエネルギーを送ることができたと思う。ベスト8だ、準決勝だなどと言わず、優勝を目指してほしい」と、3連覇を振り返った。


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