【特集】ラスト2秒で執念の勝利…グレコ120kg級・鈴木克彰【2006年6月4日】






 グレコローマン120kg級決勝は全日本王者の鈴木克彰(警視庁)が昨年の世界選手権代表の沢田直樹(徳山大職)を破り、全日本選手権に続いて勝利。プレーオフなしで2003年以来4度目の世界選手権出場を決めた。

 もっとも内容はかなり厳しかった。第1ピリオドは一本背負いを受けて落とす苦しいスタート。第2ピリオドを返したものの、第3ピリオドも劣勢でラスト2秒まで負けていた。最後にローリングが決まって薄氷を踏む思いでの世界キップ獲得。

「第1ピリオドは前へいく気持ちが強すぎた。でも気持ちを切り替えました。最後は意地のローリングでした。(拓大の)先輩でもあるし、絶対に負けられませんでした」と執念の逆転勝利を強調する鈴木。昨年12月に全日本チャンピオンに返り咲いたとはいえ、アテネ五輪のあと、そこまで優勝から見離されていたこともあって守るという気持ちはなかったという。

 アテネ五輪を逃したあとは、ひざが悪いこともあって、あと4年間続けられるかどうか分からなかった。しかし、再び世界のマットに立つことになった。「1年、1年が勝負です」とは、アテネ五輪を逃したあとの言葉。最初の1年間は世界で勝負できなかっただけに、今年は昨年の分まで勝負したいところだ。

(取材・文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫)


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