【特集】新進気鋭の若手2人を撃破…グレコ96kg級・加藤賢三【2006年6月4日】






 優勝候補の1人でもあった森角裕介が欠場したグレコローマン96kg級は、全日本王者の加藤賢三(自衛隊)が斎川哲克(日体大)、山口竜志(拓大)の若い力を辛うじて撃破し、昨年に続いての世界選手権代表を決めた。

 斎川との準決勝はグラウンドの防御の時のフライングが原因で第1ピリオドを落とす苦しいスタート。しかし得意の首投げを決めるなどして盛り返し、俵返しも決まって1日の長を見せた。「強い選手ですけど、まだ負けるわけにはいかないですよ」と、本来84kg級の選手の挑戦に対して意地を強調。

 決勝は学生王者の山口の勢いに屈したが、プレーオフはわずか57秒でフォールを決め、ここでも意地を見せた。勝負となったのは首投げ。加藤の必殺技だけに、相手も当然警戒していると思われるが、それでもかけることができるのだから本物。これが外国選手相手に爆発するようになれば、世界でも上位へ食い込める可能性が出てくる。

 「プレーオフまでもつれてしまったから、悔しさとうれしさが半々ですね」と、満足感はあまりなさそうな加藤。決勝で負けたあと、プレーオフまでの気持ちの切り替えは、「伊藤広道コーチの『オレは5回もプレーオフを経験しているんだ』という言葉です。あのひと言で、気持ちがしっかり切り替わりました」−。

(取材・文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫)


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