【特集】超大物後輩相手に意地の勝利…フリー120kg級・北村克哉【2006年6月4日】






 全日本王者の田中章仁(FEG)が負傷欠場したフリースタイル120kg級は、北村克哉と荒木田進謙の専大同士の決勝となり、先輩の北村が意地を見せて快勝。世界選手権へのキップを手にした。

 この春専大に入学してきた荒木田は、高校のタイトルを総なめにし、04・05年と2年連続全日本2位になっている超大物新人。北村も過去2度闘い、2度とも負けている相手。しかし、ここ大一番で負けるわけにはいかない。「(荒木田の右ひざには分厚いサポータが巻かれており)本調子ではなかったみたい。よけい負けるわけにはいかなかった」と言う。

 先月の東日本学生リーグ戦では、日体大との一戦でラスト2秒に逆転負けをくらう不覚。「足首が悪く、しっかり練習できなかった」という事情はあったものの、この敗戦によってチームの負けが決まり、かなりのショックがあったものと思われる。その相手の桜井紀宏(日体大)に準決勝で雪辱。気分をよくして決勝に臨めたことも大きかったようだ。

 全日本チャンピオンの田中を破っての日本代表ではないだけに、うれしさは「まだない」とのことだが、世界へ飛躍するスタートラインに立ったことは紛れもない事実。最近の国際大会としては、ことし2月の「デーブ・シュルツ杯国際大会」(米国)に出場しており、米国選手2人相手に1ポイントも取れずに敗れている。「パワー負けした。パワーだけでなく、体力、技術のすべてが課題です」と気合を入れる。

 大学の団体戦とのからみで、まだ96kg級に出場する必要もあるため、とことんウェートアップに励むことができない辛さもあるが、初の日本代表権獲得を機に、大きな飛躍が期待できる。

(取材・文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫)


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