【特集】失点0の優勝にも貪欲さ見せる…フリー96kg級・小平清貴【2006年6月4日】






 フリースタイル96kg級は小平清貴(警視庁)が3試合を失ポイント0で勝ち抜き、昨年に続いての世界選手権出場を決めた。初戦から決勝まで合わせて無失点は04年全日本選手権、昨年のこの大会、そして昨年の全日本選手権でも同じ。すなわち、新ルール下では国内の選手相手に1点のポイントも許しておらず、他の選手をかなり引き離していると考えていい。

 もっとも小平は、失点0とはいえ、ポイントの取り方も少ないと感じている様子。確かに1−0のピリオドが3度あり、ちょっと展開が違えば勝敗はどちらにころぶか分からない。「もっと得点能力を高めないと…。今後の課題にしていきたい」と言う。

 国内では無敵の地位を築いているものの、昨年の世界選手権は1回戦と敗者復活戦で連敗。4月のアジア選手権は1回戦敗退と、世界の舞台で白星に恵まれていない。「このあたりでしっかり勝たないと、切り捨てられても文句は言えません」ときっぱり。今年の冬の欧州遠征は現実に重量級をカットされており、悔しい思いをしているが、「勝たなければモノは言えません。重量級でも勝てるんだ、というところを見せたい」と、勝負の世界の厳しさを受け入れている。

 世界選手権へ向けての課題は、これまでも取り組んできたパワーアップ。「海外の選手と比べると、明らかにパワーが劣っている」という。重量級の復権を目指した闘いが続きそう。

(取材・文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫)


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