【特集】セコンドの声が聞こえる冷静さで勝利…グレコ74kg級・菅太一【2006年6月4日】






 あと一歩のところで主要な世界大会を逃し続けていた昨年の全日本選手権2位の菅太一(警視庁)が、決勝で04年の全日本王者・鶴巻宰(国士大)を下して優勝。76kg級で出場した01年以来、5年ぶりとなる世界選手権出場を決めた。

 昨年の世界選手権代表であり全日本王者の岩崎裕樹(銀水荘)はけがのため欠場。王者不在となったトーナメントは、予想通り菅と鶴巻の一騎打ちとなった。

 決勝は互いに豪快なリフト技を繰り出し、激しくポイントを奪い合う展開。第1ピリオドを鶴巻が先取し、第2ピリオドを菅が取り返して、試合は第3ピリオドに突入した。互いの意地がぶつかり合う熱戦は意外な結末を迎える。菅が4ポイントを獲得して迎えた残り30秒。逆転を狙い、クロス・ボディ・ロックの体勢に入った鶴巻が、すぐにクラッチしなかったという理由で警告を受けてしまい、これが3度目の警告となって試合はあっけなく終了した。

 ここ数年のうっぷんを晴らす形となった菅は「第1ピリオドを取られて、いつもなら焦ってしまうところだったけど、今日はセコンドの声もよく聞こえて焦らずにできた。気持ちも逃げずに攻めることができたと思う」と満面の笑み。5年ぶりとなる世界選手権に向けても「リフトのディフェンスがまだ課題だけど、相手が外国人選手だからといって気になることはない。ぜひメダルを取りたい」と表彰台を目標に掲げた。

(取材・文=渋谷淳、撮影=矢吹建夫)


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