【特集】若手の台頭に刺激を受ける…フリー74kg級・小幡邦彦【2006年6月5日】






 若手の台頭が目立ったフリースタイルで、74kg級はベテランの域に入ってきた小幡邦彦(ALSOK綜合警備保障)が勝ち、アテネ五輪を含めて6年連続の世界大会出場を決めた。

 長島和幸(クリナップ)との決勝戦は、全日本選手権と同じく、2ピリオドとも0−0のあとのコイントスで勝っての勝利。快勝とは言いがたい内容だったが、2週間前にひじにばい菌が入って約1週間練習できなかったことを考えれば、仕方のない面もある。しかし「もっと攻撃しないと、世界では勝てませんね。たとえ相手が守ってきても。これまでもそうですけど、今後の課題でもあります」と、この闘いではいけないことは十分に承知している。

 ことしは3月のダン・コロフ国際大会(ブルガリア)で銀メダルを取り、いい出だしの年になっている。とはいえ、「銀で満足していては、それ以上はいけない」と気をゆるめるつもりはない。

 4月のアジア選手権では、この日、準決勝で闘った加藤陽輔(日体大助手)が銅メダルを取り、追い上げられている気持ちも感じている。「アジア選手権は去年、自分が2回戦で負けた大会。その大会でメダルを取ったのだから、(加藤は)自信をつけて強くなってくると思う」。国内外で刺激を受けており、これが必死さにつながっているようだ。

 世界で闘うための体力には自信があり、習得しなければならないのは技。反復練習によって、確実に身につけていくことが今後の練習の指針で、「来年はオリンピックの前哨戦。もうすぐという感じで、休む暇もありません」。後のない気持ちがいい方向で出て、6度目の世界大会を飾ってほしい。

(取材・文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫)


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