【特集】7月には単独で欧州遠征へ…グレコ84kg級・松本慎吾【2006年6月5日】






 世界の強豪との戦いに照準を絞るグレコローマン84kg級の松本慎吾(一宮運輸)が、今大会も貫禄を見せ付けた。決勝ではアジア選手権出場の小向忍(自衛隊)を寄せつけず、大会新記録となる7連覇を達成。5度目の世界選手権出場、アテネ五輪を含めると6度目の世界大会出場を決めた。

 国内における圧倒的な強さは相変わらずだったが、この日は意外にも必殺の俵返しが、見事な形で決まったのは3試合でゼロ。松本は「みんな分かっていて、寝てきますからね(注=体を反対側に大きく返して防御し、肩がマットに向くこと)。それでも上げなきゃいけないんだけど…。ここに目標はない。7連覇? 意識はまったくないですよ」と涼しい顔で言ってのけた。

 今年3月の「ポーランド国際大会」は、並み居る強豪を抑えて優勝。久々に外国勢を蹴散らした日本のエースは「ステップの速さを生かして俵返しを成功させることができた。感覚はつかめてきたと思う」と確かな自信を手にした。

 シドニー五輪出場を逃した2年後、2002年のアジア大会で優勝して調子を上げた経験から、五輪の中間となる06年を「弾みをつける年」と位置づけている。ポーランドでつかんだ自信を揺るぎないものとするため、単身の海外遠征を熱望。7月からトルコなどの強豪国へ武者修行に赴く決意を固めている。

 最終目標はもちろん北京オリンピック。日本人選手の苦戦が続く重量級でチャレンジを続ける松本は「世界選手権でメダルを取って勢いをつけたい」と力強く宣言した。

(取材・文=渋谷淳、撮影=矢吹建夫)


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