男子全日本チームが柔道全日本チームと合同練習【2006年6月21日】





 東京・国立スポーツ科学センター(JISS)で合宿中の男子の全日本チームは6月19・20日、柔道の全日本チームを迎え、合同練習を行った。19日は主に柔道選手がレスリングの技術を学び、練習を報道陣に公開した20日はレスリング選手が柔道衣を着て柔道の技術を学んだ。全日本チーム同士が合同で練習するのは98年6月以来、8年ぶり。

 日本協会の富山英明強化委員長(日大教)は「対マスコミ用ということではなく、本当の合同練習をやった。レスリングの選手は、日本のスポーツをリードしている柔道選手の使命感を学んでほしかったし、柔道選手はレスリングの激しい補強運動を体験してほしかった。レスリング的な動きをする外国選手に対する対策にもなると思う」と振り返る。自らも、柔道の山下泰裕さんやマラソンの瀬古利彦さんら他競技の一流選手と接することでオリンピックへ向けて支えあった経験があり、「こうしたことを機に人間としてのつながりをつくり、成長してほしい」とも要望した。

 JISSは施設を拡大する予定で、今以上に多くの競技のトップアスリートが使用することになる。柔道だけでなく、「いろんな競技の選手と交流してほしい」と要望した。

 高校時代までは主に柔道に取り組み、インターハイで2位になっているグレコローマン84kg級の松本慎吾(一宮運輸)は、10年ぶりに柔道衣を着たという。インターハイ決勝で対戦した斎藤制剛選手(旭化成)と再会し、練習よりも昔話に花が咲いた(?)ようだが、「同じ格闘技の選手で、同じように世界を目指す選手に接して、モチベーションが上がります」と合同練習の効果を話す。柔道の顔でもあるシドニー五輪金メダリストの井上康生選手と柔道衣を着ての乱取り(スパーリング)もやりかたったそうだが、その前に終わってしまって、ちょっぴり残念そう。

 柔道の斉藤仁監督(国士大教)は「すごいハードトレーニング。ウォーミングアップの段階で終わっていた選手もいたね」と、柔道にはない心拍機能を上げる練習にびっくりの表情。「1年に1回は合同練習をやっていきたい」と話す。

 井上康生選手(ALSOK綜合警備保障)は「マットにへばりつている選手を持ち上げるのは大変なことが分かった。アレクサンダー・カレリン(ロシア=五輪V3)はすごいと、あらためて感じた」と話し、国士大では時にレスリングの練習に参加していたというアテネ五輪100kg超級金メダリストの鈴木桂治選手(平成管財)は、ハードトレーニングに「吐きそうになった」と笑い、「スピードや低く構える選手の対策になる。同じところを目指している選手同士、相通じるところがある」と振り返った。


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