山本“KID”徳郁(KILLER BEE)がプロを休養し、北京五輪へ挑戦2006年7月22日】






 プロ格闘技のK-1やHERO'Sで活躍している山本“KID”徳郁(KILLER BEE=山梨学院大OB)がプロのファイトを休養し、08年北京オリンピックの出場を目指してレスリングに専念することを決意。7月22日、都内のホテルで山梨学院大時代の恩師である高田裕司監督(日本協会専務理事)らと会見した(右写真)

 山本は「昔からレスリングでオリンピックへ行く夢を持っていた。今29歳で、これが挑戦する最後のチャンス。今トライしなったら、一生後悔すると思った」とアマ復帰を決意した気持ちを説明。「総合をやりながら挑戦して勝てるほど、レスリングは甘いものではない。逆に、レスリングの練習しかしないで総合のリングで闘うのは、相手選手やファンに対して失礼。プロの闘いを休養し、レスリングに専念したい」と話した。出場する階級はフリースタイル60kg級。母校の山梨学院大で練習を続け、来年1月26〜28日の天皇杯全日本選手権(東京・駒沢体育館)への出場を目指す。

 これまで石沢常光選手や浜中和宏選手のプロ選手がアマに再挑戦していい成績を残せない事実を指摘されると、「他人は関係ない。可能性と自信があるから挑むだけ」と話した。

 会見に出席した高田監督は「ばく大なファイトマネーを捨ててまでもレスリングに専念したいという純粋な気持ちに感動した。協会の専務理事としては、これだけ有名な選手がレスリングの大会に出てくれることはうれしい」と話す。試合時間が以前の「3分×2ピリオド、グラウンド中心」から「2分3セット制、スタンド中心」になったことは、「山本にとって有利。以前はスタミナとローリングの防御に難があった。ルールが山本に有利なった」と分析。何よりも、練習後の体重が61kg台で、「減量が少ないことが大きい」と期待を寄せる。

 しかし「心配も半分ある。今現在の力なら全日本のベスト8くらい」と現状は甘くないことを指摘。「これからは学生選手に混ざって、学生選手と同じ練習メニューをこなしてもらう」と厳しさを要求。1年間やったあとの来年6月の明治乳業杯全日本選抜選手権で「3位」を最低の目標として掲げた。

 山本は、ミュンヘン五輪グレコローマン57kg級代表の山本郁栄さん(日体大教)の長男で、姉・美憂さんと妹・聖子(ジャパンビバレッジ)は元世界チャンピオン。キッズ時代の全国少年選手権5度優勝にはじまり、全国中学生選手権2連覇、世界カデット(当時15〜16歳)選手権6位などを達成し、将来を嘱望された。米国の高校に留学したあと、山梨学院大へ進学し、99年にフリースタイル58kg級で学生二冠王へ。同年の全日本選手権では2位に入賞した。

 大学を卒業後、アマ修斗を経てプロへ進み、昨年のHERO'Sのミドル級最強決定トーナメントで優勝。人気を博していた。出場予定だった8月5日のHERO'S(東京・有明コロアシアム)は欠場し、リング上からファンへお詫びとオリンピック挑戦をも応援してほしいとあいさつする予定。


 日本協会・福田富昭会長の話「国内の大会が非常に面白くなる。レスリングはプロもアマもない。誰もがオリンピックを目指し、全力で頑張ってほしい」

 
今年のフリー60kg級世界選手権代表・高塚紀行選手(日大)の話「総合の強さとレスリングの強さとは違うと思います。レスリングを離れていた選手に自分が負けてしまうと、レスリングが負けたとなってしまう。闘うことになったら、絶対に勝ちます」


 ◎山本“KID”徳郁のレスリング時代の主な成績

最後のレスリング試合となった1999年全日本選手権決勝(赤が山本、相手は関川博紀)

 ★キッズ時代 
 
【全国少年選手権】=6度の優勝(5連覇を含む、83年は不出場)
    1982年(幼児18kg級)、      1984年(小学校1〜2年20kg級)、
    1985年(小学校3〜4年22kg級)、1986年(小学校3〜4年24kg級)、
    1987年(小学校5〜6年26kg級)、1988年(小学校5〜6年30kg級)

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 《1990年》=神奈川・桐蔭学園中2年

 
【全国中学生選手権】=優勝(40kg級)
1回戦 ○[フォール]人見義治(茨城・水戸四)
2回戦 ○[フォール]吉田征樹(茨城・愛宕)
3回戦 ●[判 定]田原大輔(千葉・野田一)
4回戦 ○[フォール]隅田佳孝(石川・金沢城南)
5回戦 ○[フォール]宮崎良洋(福井・大飯)
6回戦 ○[フォール]三代健正(大阪・吹田南千里)
7回戦 ○[フォール]三ツ井正夫(千葉・木間ヶ瀬)
8回戦 ○[判 定]永野佑二(吹田西山田)
9回戦 ○[フォール]広中宏祐(山口・大畠)

 ※勝ち点の関係で、1敗しながらも優勝=当時の勝ち点方式のルールによる。

 
【世界カデット選手権】=6位(40kg級)
=(詳細不明)=
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 《1991年》=神奈川・桐蔭学園中2年

 
【全国中学生選手権】=優勝(47kg級)
1回戦 ○[フォール]吉越大文(千葉・野田一)
2回戦 ○[フォール]吉沢篤(栃木・喜連川)
3回戦 ○[フォール]広中祐(山口・大畠)
4回戦 ○[フォール]中村祐士(茨城・大島)
5回戦 ○[フォール]高塚飛雄馬(大阪・吹田一)
6回戦 ○[フォール]山口孝(茨城・愛宕)
7回戦 ○[判 定]久米貴幸(北海道・岩内一)
8回戦 ○[フォール]井上洋市(神奈川・汐見台)
9回戦  BYE

 
【世界カデット選手権】=6位(フリー47kg級)
=(詳細不明)=
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 《1994年》=米国マルコス・デ・ニーザン高

 
【JOC杯エスポアール選手権】(フリー57kg級)
1回戦 ●[8-9=5:40]森分透(日体大)

 
【全日本選手権予選会】(フリー57kg級)
1回戦 ○[11−8]橋本拓明(日体大)
2回戦 ●[3−9]渡部博文(山梨学院大)
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 《1995年》=米国マルコス・デ・ニーザン高

 
【全日本選手権予選会】(フリー57kg級)
1 回 戦  ●[9−15]森茂樹(自衛隊)
敗復2回戦 ●[4−7]飯田泰次(国際証券)
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 《1996年》=山梨学院大1年生

 
【東日本学生秋季新人戦】(フリー57kg級)
2回戦 ●[10−11]菊田圭介(東洋大)

 ※以下、階級区分変更。記入のない階級はすべてフリー58kg級。

 
【全日本選手権予選会】
1回戦 ○[Tフォール、2:12=10-0]石村昭彦(青森ク)
2回戦 ○[Tフォール、3:14=12-2]上田将勝(国士大)
3回戦 ○[7−3]川元久志(国士大)

 
【全日本選手権】=5位
1 回 戦  ○[7−3]森茂樹(自衛隊)
2 回 戦  ●[3−7]関川博紀(日体大研)
敗復3回戦 ●[1−5]石川智久(茨城・土浦日大高教)
敗復4回戦 ○[7−4]森茂樹(自衛隊)
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 《1997年》=山梨学院大2年生

 
【ヤリギン国際大会】
1回戦 ●[フォール、2-11] Anatoli Manulov(ロシア)
2回戦 ○[フォール、5-2] Konstantin Davidov(ロシア)
3回戦 ●[フォール、0-3] Vyancheslav Senyok(ベラルーシ)

 
【JOC杯ジュニアオリンピック】(フリー60kg級)
1 回 戦  ○[フォール、1:25]染谷健博(東洋大)
2 回 戦  ○[1−0]益山勝人(山梨学院大)
3 回 戦  ○[Tフォール、4:27]村上繁樹(東洋大)
準々決勝 ●[フォール、2:32]金渕清文(国士大)

 
【東日本学生リーグ戦(団体戦)】
1回戦 ○[10−4]橋本秀明(青山学院大)
2回戦 ●[7−9]鎌田卓也(東農大)

 
【全日本学生選手権】
2 回 戦  ○[フォール、3:03]大館剛(八戸工大)
3 回 戦  ○[Tフォール、2:27]増田荘史(日体大)
4 回 戦  ○[4−1]船越聡(拓大)
準々決勝 ●[5−10]山本英典(日体大)

 
【東日本学生秋季新人戦】=優勝
2 回 戦  ○[5−0]飯沼勝也(日体大)
3 回 戦  ○[3−0]益山勝人(山梨学院大)
準々決勝  ○[11−5]金渕清文(国士大)
準 決 勝  ○[6−2]船越聡(拓大)
決   勝  ○[Tフォール、2:00]平井進悟(拓大)

 
【全日本学生王座決定戦(団体戦)】
1 回 戦  ●[フォール、7:31]川元久志(国士大)
2 回 戦  ○[3−0]平井進悟(拓大)
3位決定戦 ○[6−4]久米貴幸(日体大)

 
【全日本選手権】=5位
1 回 戦  ○[5−3]川元久志(国士大)
2 回 戦  ●[1−5]関川博紀(日体大助手)
敗復3回戦 ●[Tフォール、3:28=1-12]久米貴幸(日体大)
敗復4回戦 ○[フォール、0:31=6-0]金渕清文(国士大)
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 《1998年》=山梨学院大3年生

 
【東日本学生リーグ戦(団体戦)】
2回戦 ○[Tフォール、4:50]菊田圭介(東洋大)
3回戦 ○[Tフォール、1:51]三浦周(東農大)
4回戦 ●[2−5]平井進悟(拓大)
5回戦 ○[8−4]井上謙二(日大)

 
【全日本学生選手権】=2位
1 回 戦  ○[Tフォール、? ]里裕之(東洋大)
2 回 戦  ○[7−0]吉井章浩(関大)
3 回 戦  ○[3−0]静信次郎(早大)
4 回 戦  ○[5−4]安村浩一(中大)
準々決勝 ○[Tフォール、2:24]森岡寛至(同志社大)
準 決 勝  ○[10−7]太田亮介(日大)
決   勝  ●[3−9]井上謙二(日大)

 
【全日本学生王座決定戦(団体戦)】
1 回 戦   ○[7−4]井上謙二(日大)
敗復5回戦 ●[1−6]野口勝(国士大)=63kg級

 
【全日本大学選手権】=2位
1回戦 ○[4−0]北田雄一(東亜大)
2回戦 ○[4−1]橋本秀明(青山学院大)
3回戦  BYE
4回戦 ○[9−3]大森仁(近大)
決 勝 ●[フォール、0:59]井上謙二(日大)

 
【全日本選手権】=5位
1 回 戦  ●[3-4=5:22]関川博紀(日体大助手)
敗復2回戦 ○[9−5]岡田英雅(早大)
敗復3回戦 ○[12−6]太田亮介(日大)
敗復4回戦 ○[9−3]森茂樹(自衛隊)
敗復5回戦 ●[フォール、3:05=2-5]山本英典(山梨学院大)
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 《1999年》=山梨学院大4年生

 
【アレキサンドリア国際大会】=3位
予選1回戦 ○[フォール、6−0] C. Tsianakas(キプロス)
予選2回戦  BYE
予選3回戦 ○[Tフォール、13−2] A. Karakasis(ギリシャ)
準 決 勝  ●[6−8] D. Polychroni(ギリシャ)
3位決定戦 ○[7−4] Martin Berbeia(アルメニア)

 
【東日本学生リーグ戦(団体戦)】
1回戦 ○[14−5]太田亮介(日大)
2回戦 ●[1−3]平井進悟(拓大)
3回戦 ●[1−8]上田将勝(国士大)
4回戦 ●[4−6]笹本睦(日体大)

 
【ソウル国際大会】
=3位(詳細不明)=

 
【全日本学生選手権】=優勝
2回戦   ○[8−0]瀬能陽一(東洋大)
3回戦   ○[4−0]伊藤光(日体大)
4回戦   ○[8−0]南和寿(大東大)
準々決勝 ○[フォール、4:04]木下泰行(専大)
準決勝   ○[ ? ]北川裕基(山梨学院大)
決  勝   ○[3−2]太田亮介(日大)

 
【全日本学生王座決定戦(団体戦)】
2回戦  ○[9−1]周東亮介(東洋大)
準決勝 ○[Tフォール、4:09]石原一茂(日体大)
決  勝 ○[4−3]太田亮介(日大)

 
【全日本大学選手権】=優勝
予選1回戦   BYE
予選2回戦  ○[4−2]遠藤剛志(東農大)
予選3回戦  ○[Tフォール、? ]横田英紀(東洋大)
決勝T1回戦 ○[10−1]安村浩一(中大)
準 決 勝   ○[8−5]平井進悟(拓大)
決    勝   ○[Tフォール、]北田雄一(東亜大)

 
【全日本選手権】=2位
予選1回戦 ○[フォール、1:12=6-0]久米貴幸(自衛隊)
予選2回戦 ○[8−2]谷口勝信(国士大)
予選3回戦   BYE
準 決 勝  ○[3−2]石嶋勇次(綜合警備保障)
決    勝  ●[3−7]関川博紀(新潟県体協)




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