【特集】完敗の中にも次につながる経験…男子フリースタイル66kg級・小島豪臣【2006年9月28日】







 初戦を豪州の選手相手に快勝
(左写真)。勢いづいたかに見えた男子フリースタイル66kg級の小島豪臣(周南システム産業)は、2回戦で昨年欧州3位のアンドリー・スタドニク(ウクライナ)に苦杯を喫し(下写真)、2試合で初出場の世界選手権を終えた。

 出だしはよかったが、オセアニアのレスリング・レベルはそれほど高くなく、2回戦で闘った相手こそが世界トップレベル。開始20秒でテークダウンを奪われ、すぐにローリングで回されて0−3。第2ピリオドもテークダウンを奪われ、間髪入れずにグラウンド攻撃を受けてのテクニカルフォール負け。

 新ルールが施行されてからは、グラウンドよりもスタンドでの攻撃が主となり、テークダウンから一気のグラウンド攻撃、いわゆる“ワンツー攻撃”があまり見られなくなったが、この攻撃パターンを持っている選手はやはり強い。

 ロシアの中堅どころが集まった8月の「ベログラゾフ国際大会」(ロシア)優勝という実績も、世界大会では通じなかった形。「悔しい。何もできないまま終わった。(相手を)見てしまった」。敗戦のショックからか、反省の言葉が続いた。

 開始早々に受けたローリングにしても、「がっちりと決められて、身動きができなかった」そうで、日本では経験したことのない強い絞り。「決められる前に切らなければならないんですね」と、“国内用レスリング”では世界で通じないことを知った。「自分の甘いところ、悪いところが分かった」と振り返り、あらためて世界のレベルを痛感したようだ。

 しかし、ウクライナ戦の第1ピリオドにはもつれた後に片足を取ってテークダウンへ結びつけ、ポイントにはならなかったが、得意の差しからの投げであと一歩まで追い詰めた場面もあった。それは自分でも感じたことであり、決して「何もできないまま終わった」ではなかった。貴重な経験をしたことは確かだろう。

 前日には60kg級の高塚紀行が銅メダルを獲得し、「日本選手でもメダルを取れるんだ、と勇気づけられた」とも言う。12月のアジア大会までに構えや集中力の高め方をやり直し、「優勝を目標に頑張りたい」と気を入れ直した。今回の経験が生きてくれることを願いたい。

(取材・文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫)



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