輝く金メダル! 坂本日登美、吉田沙保里、正田絢子…世界選手権第6日【2006年9月30日】






 広州の天河体育館に君が代が3度続けて鳴り響いた−。世界選手権第6日は9月30日、中国・広州の天河体育館で女子3階級が行われ、51kg級の坂本日登美(自衛隊=右写真の左)、55kg級の吉田沙保里(ALSOK綜合警備保障=右写真の右)、59kg級の正田絢子(ジャパンビバレッジ=下写真)の3選手が優勝した。坂本は2年連続4度目、吉田は4大会連続4度目で、アテネ五輪を含めると5年連続、正田は2年連続3度目の世界一に、それぞれ輝いた。

 51kg級の坂本日登美(自衛隊)は2回戦(初戦)でカザフスタン選手を下し、3回戦でアテネ五輪48kg級銅メダリストのパトリシア・ミランダ(米国)を2−0で撃破。準決勝も昨年の世界ジュニア・チャンピオンのアレクサンドラ・コフト(ウクライナ)を退け、3試合を失点0で勝ち上がった。決勝はパンアメリカン・チャンピオンのリンゼイ・ベライル(カナダ)と対戦。4−0、4−0で勝ち快勝した。

 55kg級の吉田沙保里(ALSOK綜合警備保障)は、1回戦で勝ったあと、昨年3位で2年連続欧州チャンピオンのナタリア・ゴルツ(ロシア)、アテネ五輪銅メダリストのアンナ・ゴミス(フランス)、昨年59kg級欧州チャンピオンのイダ・テレス・カールソン(スウェーデン)の強豪を連破して決勝進出を決めた。準決勝まで4試合を勝ったことで、国際大会の連勝記録は「100」となった。決勝は、欧州5位のマリヤ・エゴロバ(ベラルーシ)相手に持ち上げるタックルを中心に攻め、第1、2ピリオドともテクニカルフォールの圧勝。

 59kg級の正田絢子(ジャパンビバレッジ)も、初戦(2回戦)を勝ったあと、3回戦でアジア・カデット・チャンピオンのモンゴル選手を一蹴、準決勝で欧州55kg級2位のルドミラ・クリステア(モルドバ)を破った。決勝は昨年55kg級2位、地元の蘇麗慧(ス・リフイ=中国)と対戦し、第1ピリオドのラスト3秒で1−0として勝つと、第2ピリオドも2−0で勝ち、試合を決めた。

 各階級の成績は下記の通り。(撮影=矢吹建夫)


 ◎女子

 
【51kg級】坂本日登美(自衛隊)        優勝=20選手出場


1回戦 BYE 

2回戦 ○[2−0(TF6-0=0:20,TF6-0=0:51)] Mustafina Bekzat(カザフスタン)

 《1P》開始直後に坂本が3点となる正面タックルで相手を場外へ。再開後、同じようなタックルを決め、6−0とした。

 
《2P》開始20秒、くぐって1点を取った坂本は、ローリングで2点を加える。45秒にも1点を取り、すぐにローリングを決めて6−0とした。

3回戦 ○[2−0(3-0,2-0)] Patricia Miranda(米国)

 《1P》坂本は片脚タックルで攻めて1点を獲得。中盤にも正面タックルで1点を取り、ラスト30秒にも1点を加えた。

 
《2P》やや攻めあぐんだ坂本だが、1分すぎに片脚タックルから1点を取り、ラスト15秒にも1点を加えた。

準決勝 ○[2−0(4-0,TF7-0=1:70)] Kohut Oleksandra(ウクライナ) 

 《1P》開始10秒で1点を取った坂本は、その後も1点ずつポイントを加え、4−0とした。

 
《2P》坂本は中盤まで2度のテークダウンで2−0とし、その後正面タックルで倒し、ニアフォールの体勢へ。7−0のテクニカルフォールで試合を決めた。


決 勝 ○[2−0(4-0,4-0)] Lindsay Belisle(カナダ)

 《1P》開始20秒でタックルを決めた坂本は、ローリングを決めて3−0へ。中盤は粘られたが、最後にタックルを受けてカウンターのタックルでテークダウンを取り、4−0とした。

 《2P》がぶって回り込んで坂本が15秒で1点を先行。このあと着実に攻め、1点を3度取って4−0とした。


 【55kg級】吉田沙保里(ALSOK綜合警備保障)        優勝27選手出場


1回戦 ○[2−0(4-3,2-0)] Andrade Marcia(ベネズエラ) 

 《1P》開始10秒、吉田が正面タックルで場外へ出して1点。30秒、1分20秒にも1点を加えた。終了間際、もう1点を狙って正面タックルにいったところを、見事なタックル返しを受けて3失点。しかし体勢を戻すやいなやバックを取り、4−3としたところで終了のホイッスル。辛うじてこのピリオドを取った。

 
《2P》タックル返しを警戒した吉田はなかなか踏み込めなかったが、1分15秒、フェイントを使ってバックへ回り込んだ。ラスト5秒にも1点を加え、2−0とした。

2回戦 ○[2−0(5-0,3-0)] Golts Natalia(ロシア)

 《1P》吉田が相手のタックルに対してカウンターの正面タックルを決めてわずか8秒1点を先制。中盤のタックルにタックル返しを仕掛けられたが、詠んでいた吉田は冷静にさばき、ニアフォールを奪い、5秒以上抑えて4−0へ。終盤にもタックル返しを乗り越えて1点を取り、5−0とした。

 
《2P》がぶられた吉田だが、相手を振ってバックを奪って1点。1分40秒にもくぐってタックルを決め、2−0とした。

3回戦 ○[2−0(1-0,2-1)] Anna Gomis(フランス) 

 《1P》お互いに手の内を知っているだけに慎重な闘い。吉田が40秒にバックを取り、1−0とした。

 
《2P》いなして背中を向けた相手に対して、吉田が突進して場外へ押し出し1点を獲得。すぐに片脚タックルをかけて、開始35秒で2−0へ。ラスト10秒に回り込まれてしまったが、2−1で勝った。

準決勝 ○[2−0(4-0,6-3)] Ida-Teres Karlsson(スウェーデン)

 《1P》1分ごろまでに3度のタックルで3−0とした吉田が、後半も余裕をもって闘い、最後に回りこんで1点を加えた。

 
《2P》タックルへ行った吉田は、押し倒されるようなタックル返しを受けてしまった。体を入れ替えて1−3としたが、46秒にも1点を加え2−3と追い上げた。その後、なかなかポイントが取れなかったが、1分34秒、正面タックルからニアフォールへ追い込み、6−3と逆転。最後に地力を見せた。


決 勝 ○[2−0(TF7-0=0:28,TF6-0=1:45)] Maryia Egorova(ベラルーシ)

 《1P》開始早々に正面タックル、それを持ち上げてマットへ落とした吉田は、そのままフォールの体勢へ。5秒以上押さえ込み、さらにニアフォールで攻めるなどしたが、必死にこらえる相手に惜しくも逃げられた。しかし7−0でテクニカルフォール。

 《2P》第1ピリオドと同じように正面タックルから持ち上げたが、1点どまり。中盤、相手のタックルをカウンターで返し、ニアフォールへ持っていって3−0へ。腕を取ってフォールの体勢へ追い込み、惜しくも逃げられたが、スコアは7−0になっていた。


 【59kg級】正田絢子(ジャパンビバレッジ)      優勝=24選手出場


1回戦 BYE

2回戦 ○[2−1(3-4,1-0,2-0)] Alka Tomar(インド) 

 《1P》正田がバックを取りニアフォールへ追い込んで2点を獲得。その後、1点ずつ取り合って3−2となったあと、終了数秒前に、がぶらった状態で下からのがぶり返しを受け、3−4でこのピリオドを落とした。

 
《2P》開始から46秒にタックルに来た相手をかわして、正田た1点を獲得。このポイントを守り切った。

 
《3P》がぶって攻撃の機をうかがう正田だが、なかなかポイントにつながらない。しかし1分20秒、がぶった状態から左へ返して2点を取り、そのままのスコアで終了。

3回戦 ○[フォール、1P1:51(F5-0)] O. Nasanburmaa(モンゴル) 

 《1P》攻め手を欠いた正田だが、1分20秒、がぶられた状態から得意技の飛行機投げが決まって3点。ネルソンを狙い、不発だったがすぐに腕とりで体を返し、そのままフォールした。

準決勝 ○[2−0(4-0,2-0)] Cristea Ludmila(モルドバ)

 《1P》40秒にテークダウンを奪った正田は、ローリングで2点を加えた。さらに飛行機投げで攻め、これは不完全だったがバックを取って1点を加え、4−0とした。

 
《2P》正田はしつこい片脚タックルで1点を先制。その後、がぶりから攻撃の機をうかがうが、なかなか攻められない。しかし、最後にタックルで1点を加え、2−0とした。


決 勝 ○[2−0(1-0,2-0)] Li Hui Su(蘇麗慧=中国)

 《1P》一進一退の攻防が続き、お互いにポイントが取れなかったが、終盤、正田が場外へ押し出せるチャンスをつかみ、バックを取ってラスト3秒に貴重な1点を取った。

 《2P》同じようにポイントが取れなかったが、後半、正田が相手の右脚へのタックルをしつこく仕掛け、値千金の1点。最後にもダメ押しの1点を取り、2−0とした。



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