国際レスリング連盟(FILA)ラファエル・マルティニティ会長(スイス)に聞く【2006年10月4日】






 国際レスリング連盟(FILA)の第7代会長として、世界中を駆け回っているラファエル・マルティニティ会長(スイス)。02年に会長に就任以来、ユニバーシアードのレスリングの復活や、06年アジア大会での女子の復活など、数々の手腕を発揮してきた。世界選手権の5日目に、忙中のマルティニティ会長に時間をとってもらい、世界のレスリングの発展などについて聞いた。


 Q: レスリングがオリンピック種目として存続するためには、プロモーション(普及広報活動)が必要だ。現在、FILAがやっているレスリング普及のための努力を教えてほしい。

 
マルティニティ会長 ここ数年間、FILAはレスリングの普及発展に最大限の努力をしてきました。ルールを変え、レスリングがよりアクティブになるようにしました。アジアやアフリカへのプロモーションにも力を入れてきました。それらの地域の大会には、確実に出場選手が増えています。今後も増えていくでしょう。

 
Q: FILAはホームページを運営しているが、あれをもっと充実させることはできないのか。

 
マルティニティ会長 数年前にはホームページは存在しなかった。しかしスタートさせ、改良していったことで、プロモーションに大きく貢献していると思う。今回の世界選手権では、昨日(4日目)、全世界から120万件を超えるアクセスがあった。決勝戦の放映権もあるので、ライブでの放映もやった(ここをクリック)。今後は、もっと写真を取り入れ、見せることでレスリングの魅力を全世界に伝えたい。来年からは、世界選手権だけではなく、大陸の大会のビデオや写真を入れようと考えている・

 
Q: 私の希望では、もっと世界のレスリングのニュースを伝えてほしい。

 
マルティニティ会長 今回、120万件を超えるアクセスがあったことが、大きなニュースじゃないですか(笑)。

 
Q: サッカーのジダンやベッカムが世界的なスーパースターになているのは、マスコミが報じるからだ。レスリングでも、ホームページでチャンピオンの特集をしたりして、選手を一般に売り出す努力があってもいいのではないか。

 
マルティニティ会長 FILAがスターをつくることはできない。サッカーはサッカーでひとつだが、レスリングは男子グレコローマン、男子フリースタイル、女子とあり、その中で特定の選手をスターにするわけにはいかない。今回の大会では、ロシアのグレコローマンが不調でしたが、その分、アメリカが頑張った。トルコでは英雄のハムザ・イェルリカヤが途中で負けたが、勝った選手に脚光が浴びる。そうした激しい競争の中からスターが生まれるのであって、FILAが特定の選手を売り出すことはしたくない。

 
Q: 2012年ロンドン五輪での女子の7階級実施はいかがでしょうか。

 
マルティニティ会長 FILAは常に国際オリンピック委員会(IOC)に対して、女子7階級の実施を求めていますが、北京五輪では女子4階級と決定されてしまい、ロンドン五輪も基本的には同じと伝えられている。しかし、まだ決定ではない。今後も交渉を続けたい。アテネ五輪のあと、3位を各階級2人とし、IOCにも認めてもらって北京五輪からも実施する。五輪の肥大化抑制を打ち出しているIOCの中では至難のことだった。これを実現した私たちの努力を認めてほしい。世界の女子の7階級実施も、粘り強く交渉を続けますが、女子の普及発展にも努力しなければなりません。世界には男子のグレコローマンとフリースタイルには100万人を超える選手がいますが、女子は10万人もいない。女子の競技人口が増えてくれなければ、階級増も要請しづらい。



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